ひょんなことからアメリカのスリラー映画を見た。YouTubeチャンネルになぜかその映画のダイジェストが紹介されていて、偶然クリックしたらなんか面白そうと思った。
「BECKY/ベッキー(2020)」という映画で、主人公の女の子の名前がタイトルだ。UーNEXTで配信があったのでよかった。
概要は「母親を亡くした13歳の少女・ベッキーは思春期の真っただ中。そんなある日、彼女は山の中の別荘で父から再婚相手を紹介されるが、反抗心からその場を飛び出してしまう。その直後、刑務所から脱獄したネオナチの凶悪犯4人組が別荘に押し入ってくる」というもので、見どころは「幼い少女が悪人たちを完膚なきまでにぶちのめしていく姿は爽快感抜群。小さい体で知恵とスキルを駆使して戦うアイデア勝負が、テンポの良さも相まってスカッと楽しめる」というから面白そうじゃないか。いやー、たった1時間半くらいの映画だったがちょいとすごかったネー。↓のベッキーの写真を見てよ。お顔に血がべっとりでしょ。本編はもっとすごいよ。ネオナチを信奉する悪人4人を相手にやっつけていくんだが、父親を殺されたのを見てからのベッキーがすごい。ベッキーにやられた相手は血しぶきだけじゃなくて片眼は取れるわ、鋭利な定規で顔面をブスブスに突き裂かれるわ、ボートのスクリューで胸から首を回転血しぶきにして抹殺され、最後は悪人の仲間割れの最中に草刈り機で頭部を完全草刈りいや頭刈りされた結果、首から上はなくなり血がドクッドクッと胴体から出るシーンがアップになる。これは日本の映画ではまず出て来ない描写だ。ましてや子どもが主人公の映画でよ。そして仲間割れで最後に残った悪人(そいつはベッキーをいったんは痛めつけるがとどめは刺さず、逃げろと温情をかけたのに)に対し、ベッキーは容赦なくピストルで脳天をぶち抜いて終わらせた。いやはや。
これは絶対にカールは見ない類いの映画だ。アメリカでも18禁だろう。しかしこの低予算映画が全米で2週連続興行収入1位になったというからヒット映画といっていいだろう。その証拠に3年後に「ベッキー、キレる」という続編が公開された。それもNetflixで配信があり、今日あっという間に見てしまったが、高校生でバイトに明け暮れるベッキーが今度はテロ組織のグループに巻き込まれ一人で彼らをやっつけるという、まさにホームアローンとランボーを少女版にして組み合わせた映画だ。
アメリカでは1980年代に「悪魔のいけにえ」「スクリーム」「13日の金曜日」などホラー映画で血しぶきを前面に押し出したスプラッター映画というのが大流行した。私も「13金」などが好きでビデオはともかく映画館まで見に行ったこともあり、嫌いな分野じゃない。しかし子どもには見せない方がいいとは思う。それにカールが大嫌いなように女性とのデートでは勧められないな。スプラッターものはもう過去の遺物で今はその手の描写は流行らないものと思っていたがそれは私の勘違いだったようだ。
スプラッターものとは若干違うが、その元祖のような表現を1960年の黒澤明とヒッチコックの両巨匠が自作で発表している。「椿三十郎」と「サイコ」だ。どちらも私の一推しの作品で何度見ても面白い。その2作ともワンシーンだけしか出て来ないが血しぶきが強く印象に残る。若い人は両作品とも見たことがないだろう。一度見て欲しいので詳しくは言えないが、「ベッキー」のようにあちこち血しぶきが出るわけではなく、ともに白黒映画で大事な場面だけに使われていて本当にすごい。その点は両巨匠はさすがだ。
さらに劇中、ベッキーの本名がレベッカだという場面がある。全く本編の内容とは関係ないが、私がヒッチコックの作品の中で「サイコ」とともに推しの作品が「レベッカ(1940)」で、それを思い出した。私の周りでこの映画を見たことがあるという人は誰もいない。だから語りたくてもどうしようもなく、以前このブログで紹介したことがあるくらいか。ヒッチコックがイギリスからアメリカに移住し最初に撮った作品でアカデミー作品賞を取った名作だ。繰り返し見ても面白い。ちなみにタイトルの「レベッカ」にはレベッカが一度も姿を現すことはない。主人公は別にいるがその名前はまったく覚えてもおらず、やはりその映画のタイトルは「レベッカ」がふさわしいと思わされるのである。
しかし今回の「ベッキー」はまさに「ベッキー」で彼女がタイトルとおりの主人公で間違いなかった。
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