夕方、仕事も一段落しゆったりとした雰囲気が内視鏡室には流れていた。ふと見ると、並ぶンDrがパソコンでネット麻雀をしているじゃないか。まだ初心者だが「ネット麻雀もやり始めてます」って言っていたな。どれどれと見てみたら、クイタンという一番安い手をやっていた。2回ポンやらチーをしているのにまだ聴牌すらしていない。さらに驚いたのがラスなのに千点という安手を必死に上がろうとしていることだった。
「上がって次はオーラス、なんでそんな手作りをしているの?」と私は疑問を呈した。しかし、その意味すら分かっていないようだ。どうにか聴牌した手もクイタン千点でしかも待ちが69万待ちで9万では上がれないという格好だ。しかしこれが奇跡的に上がれた。でも他の3人とは5、6千点以上も離れている。戦略という視点が全然ないのよ。
すると「こてる先生、代わって打ってくれませんか」というので「どれどれ、私が手本を見したる」と代打ちをやってみた。もらった手はまあまあ。ドラは1枚で字牌はバラバラ。しかし序盤に白を対子にし他は両面がいくつかある。ペンチャンの1万2万落としを私はした。「ここは2万から落とすぞ」と当たり前のことを言うと、並ぶンDr「え、何でですか」と尋ねよった。「はあ?1万と2万では相手への危険度が2万の方が高い。だから危険な2万の方から切るのよ、当たり前だろ」と解説すると「へーーえ」だ。ふむ、初級者そのものだな。だから先ほどもただ上がるだけの打ち方をしていたんだ。
手が進み、とうとう聴牌をした。4索と白のシャンポン待ちだ。「ここは絶対リーチだ」「え・・」と反応が鈍い。「だって、今ビリなんだろ。リーチして出来るだけ手を高めてビリを脱出しないきゃいけないのよ」まったくもう、還暦を過ぎて麻雀を始めたはいいがまだまだ勉強不足だぜ。
ビリからのリーチに対して相手3人は引き気味だ。当然だろう、無理して打ってしまえば自分がラスになる。すると、1枚切れの白をツモった。「オオ!」リーチヅモ白ドラ一で満貫ありこれでビリ脱出出来たぞ。裏ドラを見る。なんと2枚乗ってハネマン、12000点に化けた。画面変わって成績表示が。なんと、トップになっていた。「うわぁ」と並ぶンDr。「ほうら、ちゃんと戦略を持って勝負したら勝てる時は勝てるのさ」と雀歴45年の貫禄を示せたのであった。エヘン!