2020年10月12日月曜日

口麻酔

あの大作曲家筒美京平さんが亡くなっていたそうだ。私はこれまで彼の作品をいくつか日記ネタにしてきた。「また逢う日まで」や「ブルーライトヨコハマ」は個別に取り上げ、その魅力を書いたりもした。マスコミでもさっそく大きなニュースとして取り上げられていたが、私が主張した「筒美京平様に国民栄誉賞を(2017/09/20)」という気運は盛り上がっていないようだ。昭和歌謡の大御所たちは古賀政男を初め4人も受賞しているのにそれ以上に実績のある筒美京平にもあげるべきだと思うがナ。https://koteru-nikki-2015.blogspot.com/2017/09/blog-post_20.html

ある患者の大腸内視鏡実施前に看護師が「先生、どうしても麻酔を打ってから検査を受けたいって言うんですが」と言ってきた。ふーん、よくある要望だ。この場合麻酔とは鎮静剤のことだ。病院によっては全例鎮静剤を使うところもあるだろう。しかし、数分から5分程度で盲腸まで到達できるのに、呼吸抑制もかかり、体位変換もうまく出来ずに看護師や技師の手を借りないといけない、しかも結果説明も時間をおいてしなければならず(早めに説明すると健忘作用がありたいてい忘れている)、デメリットもたくさんある。しかしそれを希望する患者に無下に「しませんよ」とは言わないようにしている。内視鏡挿入して「痛かったら注射しますから」と言う。でも内実は、使う気はほとんどない。

看護師には「口麻酔を使うからな」と言っておいた。「口麻酔?何ですかそれ」と戸惑う彼女を尻目に、私はさっそく肛門にスコープ挿入し、さくさくと始めた。その女性患者さんの名字がやや変わったものだったので「XXさん、なかなか読めない名字ですねえ、鹿児島の名字ですかぁ」と尋ねると「志布志です」という。そこで「志布志?私、最近そこ行きましたよ〜。いやーいいとこですねえ」「あそこでパッチンエビを食べたんです」「でも結婚されたからその名字になったんでしょう」「ええ、結婚前は東串良でした」「東串良ですか、同じ大隅ですねぇ」「ええ」口は休むことなく動いているが手もそれ以上に動かしていた。若干、S状結腸挿入時に神経使うも、なにも鎮静剤を使うほどじゃないなと分かった。この人は、昔、痛がったことがあって、それで最初から「麻酔を」と言っているだけに過ぎない。結局4分34秒で盲腸まで到達できた。少し時間がかかったものの患者さんにしてみればあっという間だったようだ。

「ほうら、もう最後まで入りましたよ。どうです?痛かったですかぁ」「いいえ痛くなかったわ〜」「でしょう」結果も特に所見はなく、麻酔(鎮静剤注射)をするしないもすっかり忘れていて非常に喜んで帰って行った。たいていこうなんだよなぁ。大腸内視鏡って術者と会話しているだけですんなり済むものなのだ。中には少し痛がるケースもあるが終わってみると満足してもらえている。口麻酔の効果もなかなか、なんである。

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