2020年10月18日日曜日

「アンド・ユア・バード・キャン・シング」

 ビートルズの「アンド・ユア・バード・キャン・シング」は1966年発表のアルバム「リボルバー」の中の1曲だ。作ったのはジョン・レノン。リードボーカルも当然ジョンだ。昨日書いたマイアルバムの「激唱!ジョン・レノン」にも私は入れていた(A面の4曲目)。ただしビートルズファン以外にはほとんど知られていない曲である。

意外にもジョン・レノンはインタビューでこの曲が「嫌いです」と述懐している。ちなみにこの他にも自作曲で嫌いと言っているのが、アルバム「ヘルプ!」の「イッツ・オンリー・ラブ」(1964年)と「ラバーソウル」のラスト曲「ラン・フォー・ユアセルフ」(1965年)だ。詞が気にくわなかったり時間に追われて埋め合わせで作った曲だからというのが理由のようだが、正直そんなことはない。どちらもそこそこの出来で、特に「イッツ・オンリー・ラブ」は私の好きな曲の一つだ。たまたまバラード調の曲ゆえマイアルバムの「激唱」には入れなかっただけである。

そして「アンド・ユア・バード・キャン・シング」。本から入った私はジョンの言うとおり「ひどい曲」なのかなと思って聴いたが全く逆だった。シングル発売されてもかなりのヒットするのではないかと思えるくらいだ。ただし詞は難解。「バード」というのは女の子の意味で使っていると思われるが何を言っているのか分かりづらい。ビートルズは1966年の「リボルバー」以降はコンサートを一切やらなくなった。レコーディングに凝ってそれまでの「イェーイェーイェー!」と叫んでいた曲とは一線を画すようになり、特に1967年のアルバム「サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド」になると3年前とはとても同じバンドの曲とは思えなくなる。そんな中でこの曲は普通のバンド演奏で出来そうな曲である。でも本には「リボリバー」の中の曲はどれもコンサートでは再現不可能と書かれてあった。実はこの曲はリードギターを2本で演奏しているとのことだ。一人がジョージ・ハリスンは間違いなく、もう一人はポール・マッカートニー(本来はベース)らしい。実際にライブでは再現しづらいだろう。だからこの曲を演奏するシーンを今まで一度も見たことがなかった。

でもアメリカのジョシュ・ターナーとカーソン・マッキーという二人組がもう一人の仲間ジム・ホーガンと芝生の上であぐらかきながらこの曲を演奏&歌唱しているYouTube動画を見てしまったら・・。なんて素晴らしいんだ!ターナーのよどみなく動くギタープレイ、3人の底抜けに明るいハーモニー。何度も何度もリプレイし見て聴いた。何回視聴しても飽きが来ない。↓左がジョシュ・ターナー、中央がジム・ホーガン、右がカーソン・マッキー。
こんなにも飽きが来ず見ていられるということは、この3人の実力もさることながら元の楽曲の良さもあるということだ。ジョン・レノンにとっては捨て曲だったかもしれないが、他の凡庸なミュージシャンの作った渾身の曲よりずっと上、そう、サリエリが丹精こめて作った曲よりモーツァルトの書き殴った曲の方が後生に残っているのである。コロナ窩の中、公園で犬の散歩やボール遊びに興じる市民を背景にゴキゲンなギタープレイとコーラスを聴かせてくれる。ぜひクリックを→https://www.youtube.com/watch?v=TPAtGpU_xY8

さらにネット動画をチェックしてみると、「アンド・ユア・バード・キャン・シング」はギタープレイとしては難しい方にはいり、ギターの達人らが解説付きで演奏しているものもたくさんあった。他、いくつかあるビートルズのコピーバンドもライブ用にアレンジして演奏していた。それらちゃんとしたバンドの演奏より芝生のジョシュ・ターナー&カーソン・マッキーの方が素晴らしい。特にジョシュの手の捌きぶりはずっと見ていたくなる。

この曲はネット調べると「1999年生まれとビートルズ」というブログを書いているビートルズ好き21才女性が「好きな曲はAnd Your Bird Can Sing、好きなアルバムはラバーソウル」と答えていた。意外と好むファンもいるんだ。

「アンド・ユア・バード・キャン・シング」・・ビートルズ歴45年以上の私ですらビートルズの再発見をさせてくれた思い出深い一曲になりそうだ。

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