2014年10月31日金曜日

夜討ち

外来、救急、内視鏡検査と相変わらずバタバタした昼間の業務を過ごし、どうにか帰れるなと思っていた18時過ぎ、ふいに外来看護師に「カワハゲ腎泌尿器科から患者の紹介が来ています」と言われた。「ええー、聞いてないよー」と私。そう、急に来たのだ。しかも下血だとか。急いで紹介文を読むと、これは本物かもという気がした。たまに痔出血とかなんちゃって下血もあるがこの高齢男性は1年半前にS状結腸憩室から動脈性出血を起こし青雲会病院に入院歴があったからだ。その時のこともあり夕方出血したばかりだが早目にと送って来た。なるほど、それなら緊急内視鏡をせねばなるまい。あいにく内視鏡室のスタッフは帰ったばかりだったが、服緑Nsが来てくれ浣腸のみでさっそく大腸を観察した。すると案の定S状結腸付近から出血した痕跡があった。憩室も多数ある。となれば出血源の憩室たった1個を捜す必要がある。でもこれが難しい。凝血が散らばり出血源でない憩室にもはまり込んで紛らわしいのと入り口が狭い憩室が多数あり憩室底の露出血管が見つかりにくいのだ。前回は大きい憩室の明かな血管が見えたためクリッピングして止血出来た。下血がない奥の腸管まで入れて抜き、また入れ直す。そのうちごく小さいけれど血液付着が目立つ憩室があった。周囲には他に3個も似たような憩室がある。スコープの先から水洗浄してみる。ちょいとした刺激も必要だ。責任憩室を見つけるには再出血もいとわない。犯人を挙げるには確かな証拠が必要でそれさえ見つかれば勝ったも同然なのだ。

ちょいとスコープ先端で突いてみると・・あっ、ビュッと出てきた!鮮血だ。やっぱりこいつだったぜ。でも出血の勢いがあってクリップで露出血管をつまめそうにない。憩室そのものに蓋をするようにクリップする方法もあるが出血の勢いに負けて外れることもある。で、まずはHSE(高張エピネフリン液)を周辺に局注した。これで出血の勢いが弱まり観察しやすくなった。で、クリップ止血するかだがここは比較的新しい方法でゴムバンドで絞扼する方法を選んだ。スコープ先端に仕掛けを作り憩室そのものを強く吸引し引き上げその根元を硬性ゴムで縛り上げる方法だ。食道静脈瘤によく使われるものの応用で施設によってはこれを第一に実施しいい成績を上げているところもある。一旦スコープ抜去しセッティングして再挿入してみた。吸引が弱くしっかり縛り上げられなかったがどうにか憩室とそこの血管を噛んで出血は止まった。このまま数日間保って縛り上げた組織が壊死(腐り)しその後瘢痕化(くっついて固まる)すれば大丈夫だ。ふぅー。今夜やっていてよかった。明日土曜日だと外来患者見ながらでとてもこんなに落ち着いて処置出来なかっただろう。急な仕事ではあったが紹介医や患者さんの役に立て満足して遅くに帰宅したのだった。

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