2014年8月28日木曜日

テルは連れて行かれた

朝ドラ「花子とアン」は視聴率も良く好評とのことだ。今日は時代が日中戦争に入り家庭の柴犬まで軍用犬に徴用されるというエピソードが出ていた。もし役にたたないとなれば返されることはなく殺生されるのだろう。主人公の花子の養女がかわいがっていた犬「テル」が連れて行かれる場面が出てきてキャンキャンとご主人にすがる犬の演技にカールは泣いてしまったという。遅く起きてきた私はビデオですぐに再生し見たがカールは「おまけに名前がテルだからさー、またつらい気持ちになったわ」と。うちのゲンちゃんはネコだからその時代でも連れて行かれることないが同じ生き物、飼っていれば身につまされる思いだ。

これで思い出した。鹿大医学部には実験動物舎があって高学年になるとそこの犬を使って解剖や実験実習があった。あるとき外科の実習で犬を使って胃の手術のまねごとを指導医のもと我々はすることになった。その時に選ばれた犬を見て私は悲しくなった。まつげの長い明らかにメス犬のしかも人でいえば美人な犬に見えた。麻酔をかけ腹部を開いて胃の2/3を切除するやり方を真似てやったのだが、同僚のまっさこ君は嬉々として手を動かしていたのに当時ぼんくら学生の私はただむなしいだけだった。あの時のメス犬のきれいな瞳は未だに忘れられない。動物を飼ったこともなかったけれどその時は自分の勉強のためにならなくてもいいからしたくない行為と感じた。動物実験が医学医療に役立ち必要なのは理解している。でも私が今医学部長なら学生の解剖手術実習は止めさせたいとさえ思うのである。

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