病院のフロアにある自動血圧計で測定をしてみた。たまたまエレベーターに乗る前に時間があった。ふうと息を吐きリラックスして腕を突っ込みボタンを押す。しばらくして結果が出た。
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むふふ、見ろ、全くの正常血圧だ。もう前期高齢者になり、体重も80kgくらいあるというのに血圧は正常だぜぃ。
世間では「血圧が高いから痩せなきゃ、塩分減らさなきゃ」なんて言っている人たちがごまんといる。でも本当に血圧を下げる努力をしている人は滅多にいない。なぜなら血圧が高くても日常生活はほとんど困らないから。いや、下手に血圧が低いと「朝起きた時がぼうっとする」「頭がすっきりしない」などの低血圧症状に悩まされることになる。一般に高血圧の人ほど元気がいいのだ。
だがそれが10年20年、30年と続くと身体の中の血管が傷んでくる。動脈硬化に出血や梗塞など心臓、脳、腎臓など主要な臓器の血管がぼろぼろになり本格的な病気になっってくる。その時に慌てて血圧を下げても少し遅い。ぼろぼろ血管は元のしなやかなものには完全には戻らないからだ。
私が血圧が高いと分かったのはもう20年近く前になる。血圧計で上が130を示したからだ。世間では140以上を高血圧と言っていた。30年くらい前は学会でもそれくらいが基準だった気がする。でも、循環器内科専門の先生の講演を聴くと「130は高血圧だ」と言っていた。それで降圧剤を飲むようになったのだ。減塩や野菜を多く摂るなども意識はしたが徹底するのは難しい。私は確実に血圧を下げたかった。それからだいたい110台、高くても120台で過ごしている。
高血圧の患者に私は降圧剤内服を勧める。しかし「今はちょっと・・」「一生飲むんですか」「体重減らします」などと言い1年後も5年後も10年後もずっと高血圧のままの人たちが半分以上だ。いったいいつになったら血圧は下がるのだろう。私は尋ねる。「薬飲んで下げたのと塩分減らして下げた血圧とでどっちがその後病気になりにくいか知ってます?」皆少し考えて「塩分ですか」中には「薬ですか」と返答する。私はこう答える。「どちらでもない。結果として血圧が下がった方が勝ち、膨大な調査結果でそうなっている」「つまり、薬で下げた血圧と塩分、運動などで下げた血圧とでは差はない。降圧薬の副作用がどうのこうの気にする人がいるが実質気にするほどのことはない。そもそも高血圧という主作用が猛威を振るっているのに小さな副作用を気にする人の何と多いこと」
もう何年も前になるかな。かなりの高血圧で降圧剤を勧められていた50歳代前半の女性がいた。その人は頑として内服を拒否していた。ある時、脳出血で運ばれて来た。小さい出血量であればほとんどの人は麻痺は残っても助かる。しかしあまりにも出血が多すぎた。脳外科に即入院となったが翌日亡くなった。極端な例ではあるが素直に薬を飲んで適正血圧をにしておけば・・と思った。もし本人が最近のTVドラマにあるようにタイムスリップ出来たりしたら絶対素直に薬を飲んでいただろう。
血圧が高い(現在では上が125以上)人たち、じたばたしないであるいは無視を決め込まないで素直に病院やクリニックに行き、薬をもらいましょう。それが一番確実でしかも安くて(特にこの日本では)安全に血圧を下げる方法ですよ。
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