2022年9月21日水曜日

その人は「婚約者」か

今日は外来&当直の日で、外来にはサンシさんが元気な姿でやって来た。「コロナは大丈夫でした?」と尋ねると「熱が1日出ましたけどそれほどひどくなく過ごせました」と。やはりワクチンを4回も打っておれば感染は防げなくとも重症化を防げるようだ。コロナに罹った青雲会病院の職員に聞くと、ほとんどが「結構きつかった」と言い、ワクチン接種の副反応とは比較にならないとの感想で、3回目、4回目の接種を迷っている人にはできるだけ接種を勧めたい。なにせまだ無料で接種できる。「ワクチン 迷ったら打てば 間違いなし」は標語にしたいくらいだ。

午後は救急ピッチ当番だった。50歳代女性の意識朦朧患者が運ばれて来るという。いったいどういう状況?実は先日の台風がからんでいて、風雨予防で窓にテープを貼っていて、それを剥がすための「テープ剥がしスプレー」を部屋に撒いたら吸気し過ぎてのことらしい。救急隊に聞くと「部屋に入った時にガソリンのような臭いが充満してました」らしいからそりゃ気分も悪くなるだろう。来院時からしばらくすると徐々にしっかりしてきて点滴も嫌がり「はやく帰りたい」と言うので夕方前には帰宅させることが出来た。

それは良かったが、まだ朦朧としている時に救急隊から聞いた話で、連絡先を「婚約者に」と言っていたとか。これが後で看護師らの間で話題になった。本当に「婚約者なのか」という疑問だ。後から婚約者とは言わず男性知人に言い方が変わったこともあるが、実は1年以上前に別の若い女性が「私の婚約者に連絡して」というので電話連絡したところ、その「婚約者」はかなりきつい口調で「ええ?違いますよ。困るんですよねっ」とけんもほろろだったとか。どういうことなのか。実は、婚約者でもなんでもなくその女性の勝手な思い込みで「あの人は私の婚約者」と言いふらしていたらしい。その時対応したニシマキNsがネットでその婚約者を調べるとある専門業者でかなりのイケメンだった。その救急女性、最初に診察した中年過ぎの東洋Drが「うん?どうしたの」とややがさつな言い方をしたら「そんな言い方しないで」と反発したのに、30歳くらいのイケメン男性看護師チュンジョー君が相手だと「名前はチュンジョーっていうんですか」と興味津々の表情だったそうな。どうやらイケメン好きの恋愛妄想患者だったようだ。その時の看護師らはみんなその女性の言い分を信じたそうだから妄想患者の言い分にはよほど注意しないといけない。

この話を聞いて、30年ほど前、沖縄の病院で私の後輩Drが「ここのある看護師に私と結婚すると言いふらされて迷惑している」とこぼしていたのを思い出した。彼によると「天地生命にかけて付き合ってもいないのに、周囲からは『センセイ、遊んだんじゃないの』と言われて・・」と困っているようだった。彼には鹿児島に彼女がいて、実際その後に結婚したし、その話は本当だろうと思った。

それに、その時はすでに森進一のいわゆる婚約不履行問題の顛末を知っていたからありうる話だと思った。世の中には勝手な思い込みで「あの人は私の婚約者」と言いふらす人がいるのである。今から50年ほど前、歌手の森進一は全く面識のない女性に「昔、森に犯され子どもまで産んだ」とか、一度病院で森の母親と会っただけなのに「婚約しているのに守らない」とか主張され、その女性はマスコミにたれ込んだだけでなく婚約不履行で裁判まで起こしたのだった。結果は当然森進一の勝訴だったが、結論が出る前に、母親は見舞いにきた一ファンに親切にしたことで迷惑を掛けたと気に病んで自殺してしまった。森進一は確か長崎でコンサートをしていて泣きながら飛行機に乗ったと記憶している。当時のマスコミもひどい。どちらかと言えば女性寄りの記事を書いていた。この一件以降きちんとウラを取ってから記事にするようになったというが、スクープやセンセーショナルを売りにする限りこうした悲劇が繰り返されるだろう。


私は今回の救急患者、その時点ではまだ「婚約者に連絡した」と報告されていたが、カルテには婚約者とは書かず、「患者は男性知人に連絡しその知人が救急隊に連絡をした」と記載した。どうも「婚約者」と聞かされると、本当かなと思う癖が後輩Drや森進一の件でついているからだ。50歳代で婚約云々もあまりない話だし、迎えに来たのは老夫婦の両親だった。真実はともかく、婚約者が・・と聞いてもきちんとウラを取った方が後で後悔しないカモ。

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