2019年7月4日木曜日

お前がやらなきゃ!

ちょっと前に中日ドラゴンズの応援歌でピンク・レディーの「サウスポーお前」問題が起きた。何でも歌詞に出てくる「お前が打たなきゃ誰が打つ」の「お前」が選手に失礼に当たるから自粛をと球団から応援団に要請があったという。

正確な記事は以下参照↓

1日、中日応援団がSNSにこんな投稿をした。「この度、当団体で使用している『サウスポー』について、チームより不適切なフレーズがあるというご指摘を受けました。(中略)当面の間『サウスポー』の使用は自粛させて頂くこととなりました」。中日応援団は2014年に球団公認として誕生して以来、ピンク・レディーのが歌った1070年代の名曲「サウスポー」を応援曲として使用。「オイ!オイ!オイ!オイ!オイ!オイ! (Let's Go 選手名)みなぎる闘志を奮い立て お前が打たなきゃ誰が打つ 今 勝利をつかめ」との歌詞をつけ、チャンスの場面で演奏し、歌っていた。中日球団によると、「お前が打たなきゃ」という一節に対し、今季就任した与田剛監督が「お前という呼び方は選手に失礼では」と指摘したという。

一読して呆れるやら情けないやら、何でこんなのが「自粛」しなくちゃならない事案なのか理解に苦しむ。私はそう感じたが案の定ネットや一般の人たちにも反発の声が渦巻いた。サウスポーなんかより中日ファンが巨人の応援歌を罵る「死ね死ね、くたばれ、巨人軍」の方がよっぽど問題という真っ当な意見など・・。そもそも論で「お前」という言葉はかつては「御前」で丁寧な言葉であった。時代とともに俗になり逆に言われると気分を害するすらにもなった。これは「貴様」も同様で言葉というものはそうなる傾向があるらしい。

では未だに良い意味で使われる「あなた」だったらよいのか?「あなたが打たなきゃ誰が打つ」・・なんだか2塁ゴロで終わりそうだ。だとしたら英語で「YOU」はどうだ。「YOUが打たなきゃ・・」うーん、ジャニー喜多川に言われたジャニーズの面々が空振りしそうで、全然お話にならない。やはりここは「お前」がぴったりくる。それで何の問題もない。

いったい本当のことなのか。実は与田監督は「お前」じゃなくて選手の名前にしたほうがいいのでは、と提案したとのことで「選手名は呼び捨てでもいい。こちらから自粛しろとも、サウスポーをやめろと話したわけではない」と弁明している。となればこれはどういうことだ。さほど問題にするようなことではないが、実は応援団と球団の関係にそもそもある種の問題があるという指摘が一番しっくりきた。

2002年の応援団から暴力団構成員排除問題が根っこにあるからだという。東スポからの記事を抜粋しよう。

かつて在京球団で応援団長を務めたX氏によると「今回の騒動の背景には、2002年から始まる応援団問題があるんです」という。

暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(暴対法)を受け、球界が本格的に「応援団のクリーン化」に動きだしたのが02年のこと。12球団は球場から暴力団構成員ら、いわゆる「反社会勢力」の徹底排除を目指した。「なかでも問題視されたのが中日の応援団でした。今では『反社』は一掃されて12球団すべてクリーンな応援団となりましたが、中日にはその時のトラウマがいまだに強く残っているんだと思います。その影響もあり、中日球団と応援団の関係はクリーンとはいっても健全な関係ではないのかな、という気がします」


どういうことか。


「応援団が完全に球団の言いなりになってしまっている。応援団はファンの代弁者であるべきで、球団とファンをつなぐ役目を担わなければいけません。球団から『歌詞の変更』を要請されたら、まず聞かなければいけないのは『ファンの意見』です。ですが、現在の応援団は球団の言うことを聞かないと球場から排除されてしまいますし、球団の許可をもらわないと、メディアにコメントすることもできません。健全な関係ではないと思います」

ではどうするべきなのか。

「まずは球場に来ているお客さんの意見を聞くことが第一。もう結果は分かり切っているかもしれませんが、たとえば7月中にナゴヤドームのお客さんにアンケートを取って『お客さんの意見はこうですよ』と球団に伝えるべきです。そこで球団側と話をできる環境をつくらなければいけない。そもそも、今回の一件だって、与田監督が何の気なしに漏らした一言を、
球団が過剰に反応して応援団に伝え、応援団も過敏に反応してしまっただけではないのか。それでも応援団の本来の在り方を考えるという意味では、大きな騒動になった今がチャンスかと思います」

そして今後の中日応援団に望むことは何か。

「応援団経験者としては、ならばオリジナルのチャンステーマを作ろう、という方向に意識を向けてほしいですけどね。それでも応援団が球団の顔色を気にして動けないというのなら、私がナゴヤドームで内野席のファンをリードしながら『サウスポー』を歌いますよ」

なかなかやるじゃないか東スポ。今回の騒動は「言葉狩り」などではなくて、応援団と球団とのいびつな関係こそ問題であるとよく分かった。そういえば、私は映画「仁義なき戦い」が大好きだが、このシリーズの中盤昭和30年代は広島の山村組(映画では山守組)と打越会(映画では打本会)との勢力争いが軸になる。この打越会の会長打越信夫はタクシー会社を経営もしながら広島カープ発足時の応援団長もやった人物だった。応援団と反社会勢力との結びつきはそんなころからあったのだ。そんな関係を断ったのはいいとして応援団があまりに球団の顔色を伺いすぎている弊害のようなものが今回露わになった。そういうことだ。

応援するのに遠慮はいらない、お前らがやらなきゃ誰がする、みんなでじゃんじゃん応援しようぜ!

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