2019年7月17日水曜日

好きな岳ですって

午後の外来に初老の男性患者が来た。この人には大分は湯布院の病院から紹介状があった。この患者、登山が大好きで九重に登った際、腹痛を起こし近隣の病院を受診し「鹿児島に帰ったらちゃんと診てもらいなさい」と紹介状を受け取っていた。だが、それはもう2ヶ月近くも前のことだった。すぐによくなったので来なかったとのことだ。ふむ、それは分からないでもない。それはともかく、登山好きとあらば私もいろいろ尋ねてみたい。

「九重はその時期だったらばミヤマキリシマの群落を見に行ったのですか」「そうです。先生も登山をされるんですか」「いいや、私は全くと言っていいほどしたことはありません。日本百名山では韓国岳と高千穂峰に登ったことがあるくらいです」「それは大したものです」「いやいや」とやりとりがあって、その初老患者の登山話を私の方から根掘り葉掘り尋ねた。主に登るのは北アルプスで北は北海道利尻、礼文にも行くという。利尻山は島がまさに一つの山ですよねえ。花を見に行くとかで北アルプスの白馬(しろうま)岳は高山植物の宝庫でもあり毎年行くそうだ。白馬岳と言えば日本最大級の山小屋がいくつかあるのも私は知っていた。頂上近くに千人以上も泊まれると聞けば山のホテルじゃん。男性はスマホでその写真も見せてくれたが「あれ?これは白馬じゃないな、はてどこだっけ?」とど忘れしたようだった。そこで私がMacBookProのネットで調べ始めた。
燕山荘ではないな。似たような山小屋は他にもあるが・・。男性は分かっているのに・・と言った表情で少しあせり気味だ。そのうちにやっと同じ写真の画像が見つかった。「唐松岳頂上山荘」。「そうそう、唐松岳です、あーそうだった」と男性。私は以前NHKBSでやっていた工藤夕貴主演のドラマ「山女日記」にここが出てきたのを思い出した。唐松岳は百名山ではないが後立山連峰の一角を占め350人もの宿泊客を泊めることが出来るとあれば相当人気が高い山だ。

「いやー、先生も登山が詳しくて〜」と男性は感心してくれたが、いやだから全くしたことないって。TV、ビデオ、本雑誌で登山がらみの映像や記事を見たり読んだりするのが好きな岳、いやダケなんだ。以前、実際には弾かないエアギターになぞらえてエア登山家と言ったことあるがまさしくそうなんです。しかし男性は好きな山の話ができてうれしそうだった。うむ、それなら私もうれしい。また今度診察受ける機会あれば山の話をしましょう。ハハ。

0 件のコメント:

コメントを投稿