2014年7月6日日曜日

落ち着かない患者

夕方からまた日曜当直だった。着くなり病棟看護師から連絡があった。昨日午前入院した睡眠薬などの薬物飲用で点滴安静指示していた男性患者が退院させろとうるさいから困っているという。日曜退院は基本的に認めていないがこんな場合はOKだ、ぐったりしていたが眼が覚めれば退院でいいんじゃない。だが患者の親が難色を示していた。聞けば離婚問題その他で問題を抱え退院させると元妻に合わせろとかで騒ぐし、また眠剤を飲むかもしれない、それに自分らの意見には全く聞く耳を持たない、できれば精神科に強制入院させることは出来ないかという。二者の間に挟まれた看護師は困り、出来るなら患者の退院をと望んでいた。

ふーむ。親とばかり話しをしていても埒があかないので私は患者の意見を聞くことににした。部屋に入るとトイレ中だった。しばし待った後、会って話しをしてみた。患者は依怙地ではあるものの暴力を振るう雰囲気ではない。ただし親とは会う気もないし聞く気もないと断絶の深さを伺わせた。精神科に通っていたのかと尋ねると、通院歴は無く、亡くなった祖母が残していた寝る前に飲む薬を2種類それぞれ20錠ほど一気飲みしたということだ。

そうか、性格的な問題はあるかもしれないが、まずこの程度(親の見立てとは違う)では強制的に入院させる根拠がないし、暴力や問題を起こすようなら病院の問題ではなく警察に相談であろうと思われ、本人に親以外で付きそう人がいればOKだと伝えると、先輩でしてもらえそうな人がいるとのことで、結局親もそれを了承した。これで一件落着しそう。病棟看護師もほっとした様子で「今夜はどうなることかと思っていました」と胸をなで下ろした。やれやれ、こんなケース、医者の知識や技術ではなく対人間対応力が試されるわ。

部屋を出るとき、患者はまたトイレに入っていった。ナースステーションで看護師に一気飲みした薬の具体名を聞くと、よく使われる睡眠薬の他にセンナ系の下剤もあったという。「え、それも20錠ほど飲んでいたの?」「祖母が寝る前に飲んでいたというだけで本人は眠剤と思っていっしょに飲んだようですね(^ ^;」

そうか・・しょっちゅうトイレに行って落ち着かない奴だと思っていたが納得したわ!

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