2025年5月10日土曜日

刑事コロンボ「溶ける糸」

今日の午後、リアル麻雀開始直前に大谷の9回裏勝ち越し3ランホームランでドジャースが勝ったのをBS1で見てみんな気分よく麻雀に興じていた。そしてNHKBS1を付けっぱなしにして打っていた。

すると、耳慣れたオープニングテーマ曲が流れて「刑事コロンボ」が始まった。タイトルは「溶ける糸」。おおっと思った。「コロンボ」はこれまでも録画していて、たま〜に見ることがある。NHKが視聴者投票も実施し、ベストテンに入った「二枚のドガの絵」と「別れのワイン」は今年日記ネタにもした(「1/26」と「2/2」)。ドガは2位、ワインは1位で、今日の「溶ける糸」は4位できっと見ようとは思っていたところだ。麻雀面子の中では腹出し君が「見たことがある」と言っていた。

私はこの作品、ちょっとした思い出があって、それは医者1年目の鹿児島市医師会病院での外科研修時、指導医の先生と手術が終わった時だったか「吸収糸」の話題になった。そのころ「バイクリル」という薄紫色の吸収糸が出てきてそこの病院でも使われ始めていた。従来の別メーカーの緑色の吸収糸も使われていて「どっちが使いやすいかな」なんて外科医同士で話したりしていた。その指導医が「そういえば『刑事コロンボ』でこの糸がテーマになった作品がある。吸収糸で心臓の人工弁を縫ってそうすると弁の動きでくっつかなくて死んでしまうというトリックだった」と教えてくれたのだ。へーえとその時思って、それから40年近く、ついぞ視聴することはなかったが、今日、麻雀しながらとはいえ見ることが出来た。

で、コロンボのお約束、最初に犯人が出てくる。たいていは有名なゲスト俳優で今回はなんとレナード・ニモイ。あのスタートレックのミスター・スポック役の人である。風貌は一度見たら忘れられない。

このスポック(劇中はむろん別名)がひどいヤツなんだ。術中の細工に気づいた看護師を撲殺し薬物中毒者の物取りが殺したように偽装したり、その後元薬物中毒の男性にも手を掛ける。ひと言で言えば冷酷な殺人鬼である。だが、コロンボに追いつめられ、吸収糸で心臓弁を手術した同じ研究仲間の上司に薬品を飲ませ体調を悪化させ「人工弁の再手術が必要」として証拠となる吸収糸を取り、正常の糸で再縫合を目論む。証拠となる「溶ける糸」は意外な場所に隠し・・という内容だ。

ドラマでは普段冷静なコロンボが「わたしゃーあんたが犯人だと思っているんだー!」と激高する場面もある。さすがに「その態度は非論理的ですねー」といつものセリフをスポックは言わなかったわ〜。吹き替えもスタートレックの久松保夫さんじゃなかったしね(笑)。コロンボがスポックを犯人ではないかと疑うきっかけになった小さな行動、冷静なはずのスポックがある場面で違う行動を取ったことがラストシーンの伏線になっていたことなど名作にして人気作というのも肯けた。ラストの切れ味は2位の「二枚のドガの絵」と相通じるものがあるな。

私は唯一「ロンドンの傘(1978年日本初放送)」のラストシーンだけは覚えていた。あれも実にトリッキーで印象深い。私は傘をしまうときにくるくる回して水を落とすとき、この50年「ロンドンの傘」ラストシーンを毎回思い出すのだ。ちなみに「ロンドン」は投票第7位とこれも上位の作品だ。ちなみに8位の「構想の死角」はまだブレーク前のスピルバーグが監督した作品としても知られている。それもすでの録画済みで近いうちに見てみよう。50年も前の作品とはいえ古びてはいない。かつて昭和天皇もこのシリーズが好きで、1975年のアメリカ訪問の時は主役のピーター・フォークとの対面を求めたが実現しなかった。フォークが「仕事の都合でどうしても・・」と弁明したことが当時の新聞に出ていたのを覚えている。

「刑事コロンボ」はいまだにNHKが再放送をするくらいの名作シリーズだということなんだね。

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