2020年12月3日木曜日

怖いゾ、爪楊枝一本

 近頃は未明に起きてそのまま朝まで過ごすことが多い。ネット麻雀もやってうまい具合にトップを取ったので、牌譜検討をしつつ、朝食を摂り、TVはNHKの新しい朝ドラ「おちょやん」を横目に眺めながらゆっくり過ごしていた。朝ドラが終わり次は8時45分からNHKBS「にっぽん縦断こころ旅」の火野正平さんが「おはようございまーす」と出てくる・・と思ったら、朝イチの華丸大吉が出てきたのでびっくり!

「げっ!TVはBSじゃなかったの?!」なんとすでに8時15分、TVはNHK地上波をやっていた。うわー、遅刻だぁ。

30分も時刻を勘違いしていたのだ。カールも今日は遅いなと思っていたらしい。急いで髭だけは剃り出かけた。病院には少し遅れる旨の連絡をしたが何で遅れるかは言わなかった。恥ずかしいっしー。

今日の仕事は内視鏡検査がメインだ。昨日ほどではないにしてもまあ忙しかった。しかし忙中閑あり。ある高齢男性の胃カメラ前にまた歌を歌った。「♪こよなく晴れた青空を〜悲しと思う切なさよ〜」秋の萩君に「この歌知っている?」と尋ねると「全くー」ということだったので「おいおい、朝ドラは見ていなかった?」「いいえ」「でなくても結構有名な歌だよ、古関裕而作曲の『長崎の鐘』っていう」「ほとんどの日本人が知らないんじゃないですか」「あほっ!朝ドラの『エール』は視聴率20%はあった。少なくとも5人に1人は知っているぞ。昭和24年の歌だけど私は子どもの頃から知っているしー」「へー、でも何でその歌を?」

そうそう、歌うには理由がある。実は被検者の経歴が長崎の被爆者だったからだ。原爆の被害者手帳をまだ持っている。その人は1才を過ぎたばかりの時に長崎市内で被爆した。なんとか家族は直接死は免れたが「原爆症で死んでしまいました。みんな癌でした」だったそうだ。ふむ、歌うべきはやはり「長崎の鐘」やね。

可愛いんだ理事長の診察後に胃カメラに回されてきた高齢女性患者は「昨日から心窩部痛がひどい」と書かれてあった。ならばと観察すると・・驚いた。こんな胃の所見は見たことがない。この胃壁に突き刺さった様なものは何?

木でできているようでどうも爪楊枝のようだ。根元は少し膿汁のようなものも出ている。これは取ってあげないと。↓生検鉗子で引っ張ると・・。
こんなんのが取れた。先が鋭く尖っている。
回収には経口内視鏡でフードを着けて食道や咽頭が傷つかないように注意を払った。
長さ5cmもあり、約2cmほども突き刺さっていた。
事前の腹部CTで胃壁を貫いている画像が確認できた(矢印)。放って置くとかなり危ない。

非常勤で木曜に来てもらっているエイエイコーDrによると「全く同じようなケースがあって、爪楊枝は内視鏡で取ったのですが、その時に出来た瘻孔が治らなくて結局手術になってしまいした」というから、この人はまだ早くていいタイミングだったかも。可愛いんだ理事長が抗生剤を処方して様子をみることになった。

たまに爪楊枝を使った食事が出ることがあるが、気づかず飲み込むと大変なことになる。爪楊枝一本、馬鹿にはできない。みんなも気を付けよう。

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