2019年11月9日土曜日

尻尾を気にしたトカゲの末路

朝、親戚から「息子が胸部検診で精密検査するように封書が届いたが鹿児島市内の好青年病院に連絡すると来月以降になると言われた。早く検査を受けたいがどうしたらいいか」と相談があった。はあ、うちの青雲会病院なら今日にでも検査出来るのになぁ、住まいは薩摩半島の南端で姶良まで来るのはちと大変かなと思いつつ、「ちょうど、私も土曜勤務だから来てくれれば検査出来るよ」と話した。

すると午前11時にはやって来たではないか。検診結果を見て私は早速胸部レントゲンとCTを指示した。10分後にはどちらも終わっていた。他の患者もいるので少し待ってもらって約40分。あっという間に終わった。特に難しいこともないのに何で余所はそんなに時間がかかるんだろう。大腸内視鏡などは準備も人手もそこそこかかるから予約しても1ヶ月後なんてのはまあ分かる。それでも青雲会病院では1週間以内には検査OKだ。ともかく検査で1ヶ月も待たされるのは患者にしてみればきつい。その気になればもっと短く出来ると思うんだがー。

午前で仕事は終わり、食事もして私は5階病棟に上がった。肺炎で入院している80才男性患者と囲碁を打つためである。回診中に熱心に囲碁の雑誌の問題を解いていたので「いくらで打つんですか」と尋ねると「市の囲碁の集まりでは初段から三段に上がりました」という。ほう。私が初段か二段くらいで打っているのでそれなら私よりは上だ。でもその集まりでは最上位がアマ九段だという。あれれ、正式にはアマは六段が最高位だ。となるとかなりインフレ段位だな。もしかすると私より弱いかも。でもそこは「段位」と「年齢」とで私が黒を持って打ち始めた。

左下が星の定石になって途中まではよかったが肺炎三段氏は明らかに損な手を打ってきた。うん?さらに左上でも少し損な手を打った。この三段氏あまり定石には詳しくないみたい。さらに打ち進め、右上、右下でも私は大きく地を取り四隅を全部地にした。
↓の写真を見れば分かる人には分かりますよネ。
「四隅取られて碁を打つな」という格言があるくらいで私が有利になった。さらに中央も厚い石の構えでこうなればもう万全で負けようがない態勢だ。はっきり言ってこてる二段の方が肺炎三段より強いぞ。

ところがだ。終盤になってもう打つところもあまりない場面に三段氏は黒石の一団にキリを入れてきた。何を狙っているかは読める。その白石(ピンク)を取ると反対側の黒4子(黄色)を取り込めるということだ。↓の写真。
そう打ってもたかだか8目の損、20目以上勝っている私に負けはない。しかし金持ちケンカせずのままでいけばいいものをさらに欲をかいて私はそれすら嫌がった。ところが次に打たれた手(下のピンク)で中央の黒石17目全体(下の黄色)の生き死にが怪しくなった。逃げ出した白の1子を取る手がない。↓の写真。
結局全部取られてしまい大逆転を喰らったのだ。ぐうう・・。つまらぬ尻尾を気にしてまるごと一匹喰われたトカゲみたい。こんなはずでは・・。も、もう一局と言いたかったが点滴をしながらの肺炎三段氏は「ではこれで」とさっさと病室に帰ったのだった。くーーっ!

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