2019年8月19日月曜日

「おしん」を一番見て欲しかった日本人とは

アナザーストーリーズで「おしん」の特集があった(8/13放送)。朝ドラ100作目となった「なつぞら」が放送され、NHKBSではその直前に「おしん」が放送されているからだろう。「おしん」は朝ドラ史上のみならず日本のドラマで史上で最高視聴率62.9%を取っただけのことはあり今見ても面白い。「なつぞら」よりは面白いと言っていい。

生みの親である脚本家橋田壽賀子、子役の小林綾子、母親役の泉ピン子、そして海外特にイランで好評を博したとのことで影響を受けたイラン人女性にスポットを当てていた。小林、泉の女優根性もすごいものがあったが、なんといっても橋田壽賀子の力量、思想がすごかった。

「米一俵で何度も奉公に出されやがて女郎に売りに出された」という明治生まれの女性からの手紙に衝撃を受けそれを元にした企画を各TV局に出した。しかしうまくいかず、橋田と縁の深いTBSにもこんな貧しく暗い明治物は売れないと断られたそうだ。3年あまり経ってようやくNHKでの企画を勝ち取り放送にこぎ着ける。物があふれた昭和末期の浮かれた時代に「こんな時代があったのだという事実を残していかなくては」との執念が実を結んだのだ。

それともう一つのテーマが反戦だ。それは見ていてよく分かる。序盤に登場する脱走兵の中村雅俊は反戦思想の持ち主で、おしんは読み書きだけでなくその思想にも影響を受ける。息子が生まれて夫に「雄」と名付けられると「戦争に行きそうで嫌だ」とおしんに言わせているのも橋田の姿勢が一貫している。それと、元軍国少女だった彼女は海軍の経理部で働いていたのだが、終戦の日から戦争推進していた大人たちががらりと態度を変えたのに腹が立ったという。それは戦争責任を取っていないということでこのことはまだ後のことになるがドラマでどう決着付けるか描かれるみたいだ。

で、今回もっとも印象に残ったのが、「橋田にはどうしても見て欲しかったという一人の日本人がいたという」ことだ。いったい誰?

それはおしんが明治34年(1901年)生まれという設定と大いに関係がある。同年生まれの昭和天皇である。「天皇陛下の時代にこういう苦労をして生きてきた女がいるんだよということを分かって欲しかったんですよね」という。なんと。今だから言えることだろうね。戦前だったら不敬罪もの、今でもなかなかそうやすやすとは言えない。しかし、私には橋田の覚悟を感じた。これが堂々と放送でも言えるってことも素晴らしい(北朝鮮では「金正恩将軍様に見て欲しかった」なんて絶対言えないだろう)。


今、佐賀編で姑のいじめがメインだ。これも当時佐賀県が反発して有名だった。一ドラマのせいで佐賀のイメージが悪くなると。それくらい社会現象のドラマだった。まだまだ半年以上もドラマは続く。しっかり見届けようゾ。

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