2016年9月13日火曜日

「アガサ・クリスティー完全攻略」

最近は本を買うのはもっぱらamazonでだ。通勤通路に本屋があれば立ち寄るのだが欲しい本があってもわざわざ出かける時間がもったいないし面倒くさい。amazonだと基本送料がタダでネットでクリックするだけで2日後くらいに届く。しかも中古でもいいやと思えば安くも買える。

でも一昨日、アミュに寄ったついでに本屋で立ち読みをしていたら面白そうな本がいっぱいあって瞬く間に1時間半ほど過ぎてしまい帰りが遅くなった。おそらくネットでは読まないような本も立ち読みしてしまい、中には買ってもいいかなと思えるものあった。「山」関係では「新釈日本百名山」樋口一郎著、ミステリー関係では「アガサ・クリスティー完全攻略」霜月蒼著が面白かった。本屋でなければ出会っていなかったはずだ。

特にアガサ・クリスティーのはミステリ評論家の霜月女史が「意外にも7冊しかクリスティーは読んでおらず今回改めて全作品を読破しそれぞれの作品に1から5までの評価をした」とあり、しかも日本推理作家協会賞も受賞していたもので買おうと思ったが値段が2700円以上もしたので後でamazonで安く買おうといらぬ根性を出して結局その場では買わなかった。この前時計買って7千以上(7千円分)もポイントが貯まっていることだし・・。

私はアガサ・クリスティーファンで高校生のころから読みはじめ特に医師になり子どもが出来るころまではよく読んでいた。アガサ・クリスティー読本とか評論本も買っていてクリスティーについてはそこそこ評論できるくらいと思っていたが・・甘かった。プロは違うね。女史の文章を読んでいるとまたもう一度、あるいはまだ読んでいない作品も読みたくなるほどその本質をよく捉えている。批評の中で最低評価を付けたのが「複数の時計」でこれには思わず「だろっ。オレもそうだっ」と唸った。クリスティーにはほとんど外れがないと言えるほど質のそろった作品ばかりなのだがこれはいただけなかった。私が40冊近く読んだクリスティー作品で最低評価がこの本だったのだ。それで発表年が1963年で彼女の晩期に入るころの作品だからと私は解釈していた。

だいたいにおいてミステリー作家は初期の作品ほど質が高く後期になればなるほど質が落ちるのがほぼ通例で、これは江戸川乱歩が「クリスティーに脱帽」という有名な評論で指摘していた。しかしクリスティーに限ってはそうではなく初期(1920年代)よりも中期(1930〜40年代)、後期(1950年以降)にも傑作があると乱歩は感嘆している。実際ずっと以前のこてる日記でも1953年の「葬儀を終えて」では真犯人をたいてい指摘できていた私が見事はめられ唸ったことを書いた。(その印象から私の中ではこれはベスト3に入る)だから「複数の時計」でがっかりしたためこれより以降の作品は1冊も読んでいない。しかし霜月女史の評価では晩年までそこそこのものも多い。で、読んでいない作品で高評価のものをamazonで注文した。その中にはミステリーでないウエスト・マコット名義の「春にして君を離れ」も入っている。これはミステリーではないので手を出していなかった。ほか、後期のミス・マープルものの「鏡は横にひび割れて」、某作品とメイントリックが同じと知っていた「終わりなき夜に生まれつく」、問題作という噂の「フランクフルトへの乗客」、短編集の「死の猟犬」である。クリスティーについては一度では語りきれない。またの機会に書こう。

そう、肝心の「アガサ・クリスティー完全攻略」をamazonで注文しようとしたら・・なんとこれが新作では売っていない。ミニ絶版状態で中古だと4千円くらいと逆に高値になっている。2013年に出たばかりというのに何ということ!しまった、あの時アミュで買っておけばよかった。まったく買い方は「攻略失敗」だったわ!

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