2024年3月14日木曜日

〇〇だけどXXで

内視鏡検査は相変わらず多いな。大腸内視鏡やERCPはもちろんだが、今日は外科に頼まれて食道アカラシアの拡張術というちょっとめずらしい手技を久しぶりに行った。アカラシアとは胃と食道接合部の弛緩(ゆるみ)がうまくいかなくなる病気で数万に1人程度の発症率だ。食道の蠕動運動の低下もあり、食物がうまく胃に入らず食道内に停滞してしまう。これが長く続くと体重減少が目立つようになる。先月その典型的な患者がいて根治を目指すため福岡大の消化器外科に紹介転院させた。内視鏡の技術で食道樋之接合部の筋層を切開して接合部の緊張を解き、食事内容物の通過を改善するというものだ(略語でPOEM:経口内視鏡的筋層切開術=Per-Oral Endoscopic Myotomy)。青雲会病院ではその治療は出来ず、接合部をバルーンで拡張し一時的に通過改善をする手技で済ませている。ていうか、鹿児島県ではPOEMをやっている施設はない。九州では福岡、長崎が10年以上前から行っていて、最近は佐賀でも出来るとか聞く。

POEMって非常に優秀な手技でこれでアカラシアが改善し食事が取れるようになり患者さんも満足度がかなり高い。↓にその図解を(福大のホームページからhttps://fukudaigeka.jimdo.com/診療内容/アカラシア/)。

11年前に福大の塩飽洋生(しわくひろなり)Drにメールでやりとりして「落水田」という患者さんを紹介した。今回は直接電話を掛けてまたアカラシア患者さんの依頼をした。その際、「10年ほど前にも当院から患者さんを紹介しまして・・」と言うと「覚えてますよー、落水田さんですよねぇー」としっかり覚えてくれていた。私は内心むふふと思った。というのもメールで私はこうお願いしたのだ。

「患者さんは名前は『落水田』なのに最近は食事だけでなく水も落ちなくなっています」

これに対し塩飽先生、「水だけでなく食事もしっかり落としてみせます」と返信してきた。きっとそれが印象に残っていたのだろう。そして患者さんは劇的に症状改善し体重も元に戻り大いに感謝したのだった。

この言い回しは私の得意技(?)でこれまで患者紹介のやり取りでよく使う。この日記にもたまに披露している。鹿児島には「京田(きょうでん)」さんという名字がある。加治木の某クリニックから「京田さんという患者を紹介したいが明日診察できますか」には「明日といわず京田」と返事したら吹き出された。また鹿児島市内のある総合病院の産婦人科に「卵巣茎捻転」で緊急で搬送依頼したいとお願いした時、相手の救急担当看護師が「このケースは至急なんですよね」と聞いてきたので「卵巣だけど至急(子宮)です」と返事したらどっと笑いされて、それで受け入れOKになった。

アカラシアの拡張手技はまずまずうまくいった。全身状態がよくてそれほど高齢でなかったからこの患者さんもPOEM手技も考慮されてよかったかもしれない。ともかくもアカラシア治療で「〇〇だけどXXで」パターンを思い出し、一人笑いすることだった(笑)。

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