2020年3月25日水曜日

四度目の正直、大腸憩室出血

昨夜、下血で入院した高齢女性がいると病棟から連絡が入った。下血はだいたい私の担当な上に、この患者さん、昨年から今年初めにかけて大腸憩室出血で3度入院し、全て私が担当していた。S状結腸に数え切れないほど憩室がありここが出血源とは推定されるものの内視鏡観察時は血が止まっていて出血源が見つからない、いつもそのパターンだった。原因部位の止血処置をやっていないので再下血するのは当然の帰結だ。

三度目の正直でもダメで四度目ともなればさすがに期待もせず大腸内視鏡を入れた。すると直腸にも血液がたくさん付いていた。あ、いつもより血液が多い、これはもしかして・・さらにS状結腸に挿入する。血液がやはり多く、一部は鮮血に近い色合いだ。うむ、出血源が見つかりそう!俄然やる気になり、副送水で腸管を洗いつつ観察をしていくと怪しい所が見つかった。洗浄するとごく小さな憩室の隙間からじわ〜と血液が染み出てくる。見つけた。(その瞬間の内視鏡室画像。↓左が出血源の憩室、右は普通の憩室)

「よし、勝った!」

勝った負けたを言うのは語弊があるかもしれないが、その瞬間は「勝った」と言いたくなる。憩室出血は出血源を見つければ治療が終わったも同然、クリップかゴム結紮かで止血すると今後そこから出血しなくなる。私は可能な限りゴム結紮(EBL)で治療する。クリップは時に外れて不完全な場合がある。今回もがっちり締め上げ止血に成功した。四度目の正直は憩室出血慣れしている私でも最高(最難)記録かも。ほぼ1年がかりとなり患者にも私にもようやく安堵できる時が来たのだった。
(↓上で目印クリップを掛け様子を見ると、下でじわりと血が出て来るのが分かる)
(↓結紮直後の憩室。目印クリップごとゴム結紮する。壊死後、数ヶ月で瘢痕化する)

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