2016年12月3日土曜日

「一人大腸内視鏡」実演

土曜の今日は休み。だが私は午前中、病院の内視鏡室にいた。4年に1度の恒例検査、「一人大腸内視鏡」をするためだ。私は1992年から4年ごとオリンピックの年に大腸内視鏡検査を受けている。最初の2回は先輩Drにしてもらい、2000年に今の青雲会病院に就職してからは自分で自分の大腸を内視鏡検査するようになった。当初は他に内視鏡医がいなかったこともある。だがその結果、周囲のインパクトが強くて、こてる先生は一人で大腸内視鏡をするというのが代名詞のようになった。可愛いんだ理事長が院内の症例発表会でそれを発表せよと半ば強引にやらせたり、ある年の開院記念パーティーで「こてる先生は変な先生で自分で自分の腸を検査する」とか紹介したりネ。今年はいつかするすると言いつつずるずると年末になってしまった。今日の休みを利用しないと年を越してしまいそう。やらねばっ!

今回の前処置は以前のニフレック2Lではなくモビプレップという比較的新しい下剤を飲んだ。味付けを飲みやすくし量も1Lから1.5Lでいいという。で、飲んでみたが確かにニフレックの腐った塩水のような味よりはマシだが妙な甘さの人工飲料そのものって味で続けては飲めなかった。前処置中はMacBookProを持ち込んでネットをしていたので時間つぶしは苦にならなかった。40分もすると排便を催し1時間たったころは結構シャーシャー出てすっきり感があった。1時間半でもう排泄の色は薄くなり2時間もしないで検査可能となった。シホねえNs、湖西種実Ns、それに外来の合間をぬってムッちゃんNsが検査準備してくれブスコパン筋注し、いよいよ一人大腸内視鏡ショーが始まった。

自分でキシロカインゼリーをお尻に塗り、そっとスコープ先端を肛門に突き刺す。「うっ!」やっぱり緊張する。
しかし、一度入ってしまえば痛みはないどころか若干の暖かみを肛門に感じる。ははぁ、これが一部の人には快感になるんだ。10ヶ月ほど前日記にも書いたが、ある患者が透明キャップをおそらくは快楽目的で肛門に入れたはいいがずっぽり直腸に入ってしまい取れなくなり果ては全身麻酔下で外科、内視鏡スタッフが取り出すというおもしろあぶないケースもあった(2016/2/19「異物を取り出せ!」)、絶対に癖にしてはいけない。一旦、直腸に入れたところで余分な残った下剤を吸い、いよいよ大腸挿入開始である。顔はまだ緊張気味だ。

大腸内視鏡では入れてすぐS状結腸を通過させるのが一番の難所でここをスムーズに通過できるかで全体の印象が決まる。個人差があり私は比較的入れやすいタイプだ。今回はスムーズに入っていった。(4年前は私もムッちゃんもブスコパン注を忘れていてS状結腸のれん縮がひどくなかなか入らなかった)で、1分もしたら脾弯曲から横行結腸に到達した。

なかなか調子いい。そのまま押していくと少し痛みを感じる。それゆえ少し押すのをためらった。そこで横行結腸から肝弯曲を越えるのに時間がかかった。

結局多少の痛みは我慢してそのまま突っ込めばよかったのだ。相手が普通の患者ならいつもの自分はそうしていた。今回は相手が自分だけに・・。これじゃいかんと思いきって入れるといつの間にか越えて行く手がはっきりしない・・あれ?もしかしてすでに盲腸に来ているか。そうだった。なんと3分10秒くらいで盲腸に到達していた。これまでの最短記録だ。検査をしているのが自分という認識がなければ一般の被検者同様2分台で入っただろう。

挿入完了後、動画を撮ってくれていたシホねえNsと記念撮影。
この後、外来看護師連中が見物にきた。スコープ抜きながら粘膜を観察する私をみて笑う者、感心する者、冷やかす者それぞれだ。今回、ぜひポリープを見つけたかった。これまで何の異常もなくただ検査だけに終わっていて「一人ポリペクトミー」もしてみたかったのだ。だが・・いくら目を凝らしても見つからない。ポリープの1個や2個見つかってもいい年齢なのだがなかった。健康的な大腸なのだ。これって喜ぶべきことだろう・・ナ。外来看護師の誰かが「先生、胃も自分でするんですか?」と質問。そう、経鼻内視鏡でそれもやってみたことはある。挿入までは普通に出来る。しかし胃袋は大腸や食道に比べ形が複雑で観察が非常にやりにくい。ちょっと無理だった。だから毎年(胃は1年に1回)病院の他のDrにしてもらっている。

さあ、次回はまた4年後東京オリンピックの年だ。アスリートみたく(挿入)記録更新を狙ってみようか。

1 件のコメント: