2020年9月15日火曜日

ミャンマー人に名字を尋ねてはならないのはなぜか

 人間ドックの胃カメラに東南アジア系と思われる男性が来ていた。顔は見ていないがなんでそう思ったかというと名前が「タウタウヤン(仮名)」といかにもらしかったからだ。ベトナム?タイ?もしかしてフィリピンか?

で、胃カメラが終わった時に思い切って尋ねてみた。すると「ミャンマーです」と。へー。日本在住が長く会話はスムーズだ。それでもう一つ「タウタウヤンはタウタウが名前でヤンが名字ですか」と尋ねてみた。すると意外なことに「全部名前です。ミャンマーには名字はなくタウタウヤンで全部名前なんです」と言われた。ほ、そうなんですか。ミャンマー人には名字がない?本当なのかそれは。

で、ネットで調べてみると・・本当だった。名字を持たない人が9割ほどもいて世界的にも珍しい国なんだそうだ。ミャンマーで一番有名な人と言えば「アウンサンスーチー」さんだが、これを「アウンサン・スー・チー」なんて区切ると間違いになってしまう。一気にアウンサンスーチーが正しいんだとか。ただアウンサンは父の名前から取っているそうだ。名付けにもいろいろ特徴があり、多くのミャンマー国民は生まれた曜日が大事だそうで、曜日を意味する言葉を名前に付けることが多いとか、タンタンのように同じ音を繰り返すパターンも多いなどある。さらに名前には敬称が存在し、成人男性に対するMr.にあたるのが、『U=ウー』、未成人男性は『Ko=コー』、結婚している女性Mrs.にあたるのが『Do=ドー』で、未婚女性Mssには『Ma=マー』が該当するいう。そういえば私が子どもの頃の国連事務総長はウ・タントという人だったが、ウはMr.の意味であって名前の一部ではなかった。本名はタント・シトゥだとのことだ。ちなみにタントは金曜日生まれなんだそうだ。

ミャンマー人で、名字がないために困るのが、オンラインでの買い物が出来ないことだ。それらには必ず名字やセカンドネームを記入する欄があり、彼らには書きたくても書けない。そのためネット通販は利用でず、航空券購入も現地の旅行会社で手配をしてもらうか、電話での購入となってしまう。それと名字や姓がないため、家族のルーツを探る場合、非常に困難なのだとか。四、五世代前になると全くお手上げになるという。同じアジアでも中国や韓国、朝鮮など姓が非常に大事な国とえらい違いだ。韓国では父系の姓が大事ゆえ、女性は結婚しても自分の姓は変わらず、子供らは必ず父親の姓を名乗る。家への意識がかなり強く四、五世代どころか何十世代も前の家系図を保管している家がほとんどと言われている。日本は明治になってから全国民が名字を名乗るよう決められたため、四、五世代前は名字がなかった家系も多い。

同じアジアでもこんなに違いがある。ひとくくりにはできない。

↓はミャンマーの有名寺院「シュエダゴン パゴダ」

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