2018年6月6日水曜日

患者の感情に支配されるナ

近隣のクリニックから高齢女性の大腸内視鏡をして欲しいと前日に電話依頼があり、紹介状をもってその患者と娘さんが外来に来た。で、診察室に入るなり、「実は検査は受けたくないんです」と娘が言う。「もう、(親を)病院に連れてくるのもやっとで」といい「本人がもう歳だし検査も受けたくないと言っているので」と。こっちは「はあ?」だ。検査を受けにくるはずがいきなりしないだって?

本人が検査をしたくないからの論理が通ればこんな楽なことはないよ。でも、後から患者も娘も私もみんな苦労することが多いんだ。相手が子どもで高熱出して放置すれば死ぬような場合でもイヤだと言うから受けさせないのか?高齢の親でもやることは一緒だ。私は説教じみてはいたがこの娘を説得をした。「もし大腸癌が隠れていれば進行して病状悪化しその時にどうにかしてくれと言われても治療が大変難しいことが多い」「早く治療すれば簡単に対処できたのにと後悔することが多い」実際、そのようなケースを見てきているから説得にも力が入る。でもすぐにハイとは言わないタイプだった。私は粘って明日大腸内視鏡を受けさせることに成功した。いやはや、本来なら向こうから検査をお願いってくるはずだったのに何でこっちが説得せなならんのや・・。

翌日大腸内視鏡をやった結果、やや早期とは言いがたい大腸癌が見つかった。「案ずるよりも産むが易し」事前にあれこれ案じてはいたがこれでこれまでの症状の原因も分かったし何をすべきかも判断できる。今度は娘さんはやってよかったという表情だった。こと命にかんすることは、感情で判断してはいけない、理性は大事なんである。

0 件のコメント:

コメントを投稿