2017年3月16日木曜日

「ここまで生きさせてくれて」

前夜の当直では医局ソファで寝てしまい未明に目が醒めた。あいたた、これはいかんと「こてる日記」を書き終えて、当直室でシャワー浴びてもう寝ようとしたとき、ふと、昨夜入院させた患者のことで気になることがあり病棟に電話を掛けた。すると、「ちょうど良かったセンセイ、別件ですがもう心臓止まっている患者さんがいるんですけど・・」と言うではないか。おいおい、止まっているだなってそんな余裕で言うかい?「家族は来ているのか」「はい、ずっと付き添ってもう覚悟は出来ています」「患者さんは誰?」「くも膜下出血の高校生です」あ・・そうか、やはりか。

急いで電カルをみると発熱も40℃を越え体温コントロールも全く機能していない。血圧もなく脳死からついに心臓死を迎えたようだ。急いで病棟に向かい病室に入った。午前4時を過ぎていて両親と小学生か中学生くらいの妹が側にいた。母親は息子の体をさすっている。挨拶をし、型の如く対光反射を確認し心拍がないのを指摘し「残念ですがご臨終です」と告知した。父親は覚悟が決まっていたようで「はい」と答え、母親は黙ってうなずき体をさすり続けていた。そしてその次、私は驚いた。入室した時からすすり泣いている妹が「お兄ちゃん・・」と言葉を発した後、「・・を、ここまで生きさせてくれて、ありがとうございました」としゃくり上げながらも気丈に謝意を述べたのだ。びっくり。後で看護師から「お兄ちゃんっ子だったらしいですよ」と聞く。その時が来たら前もって言おうと思っていたにちがいないが臨終の場で子どもがなかなか言えるものではない。

お見送りには付き添わなかったが、あとで主治医のシマッチ院長が「息子の治療だけでなく、私たち家族のこともスタッフの方々がケアしてくれ本当にありがとうございました」と父親に感謝されたそうだ。こうした場合、遺された家族に対する対応も大事で看護師さん始めみんなが十分に尽くしたおかげだろう。不幸な出来事の中で少しだけ救われることであった。

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