2022年11月12日土曜日

バタフライエフェクト「大恐慌欲望と破滅の1929年」

今日は、NHK番組で録りだめしていた「バタフライエフェクト」の中の「大恐慌欲望と破滅の1929年(2022/10/24放送)」を見た。

NHKの宣伝文句は「1929年10月24日、ウォール街を突如襲った株価大暴落「暗黒の木曜日」を皮切りに世界は大恐慌に陥り、多くの人生が狂わされた。『ブロードウェイの父』と呼ばれた演出家フローレンツ・ジーグフェルドは破滅、全米に愛された天才作家「華麗なるギャツビー」のF・スコット・フィッツジェラルドの人生も転落する。その一方、市場崩壊を見抜いた伝説的な相場師ジョセフ・ケネディはいち早く売り抜いて巨万の富を築き、約30年後には大統領の父となる。永遠の成長を信じた人々の欲望と破滅の物語」というものだ。

第一次世界大戦後のアメリカはヨーロッパのように戦場にはならず世界経済をリードし好景気に湧いた。給料が5年で2倍にもなり、株式も1/10の資金で株取引が出来る制度(いわゆる信用取引)もでき素人が手を出しやすくなり、エジソンの発明した市況速報機「ティッカー」で株価の値動きを瞬時に伝えられたこともあって大衆は株式投資に熱中した。実際、株価は上昇を続け、賃金も上がり、多くの人が信用取引を行っていた。株価は永遠に上がり続ける、そんな幻想が信じられていた。

そんな中でも法律の裏をかくような評判の悪い相場師ジョセフ・ケネディは巨万の富を蓄えていた。彼は「株価が最高値になるまで頑張るのはバカ者だけさ」と言い放ち、裏では今で言えばインサイダー取引や相場操縦、空売り」など違法行為すれすれで利益を儲けていたという。彼は1929年10月24日の株価大暴落の前には全ての株を売り切って全く被害を被らなかった。番組では「ウォール街で靴を磨いていたパット・ボローニャなる少年までが株式取引の話題をしているのを見て、株式市場はそろそろ危ないと気づいた」とあったが、どうも話が出来すぎている。調べるとやはり作り話のようで、実際はパトロンのガイ・カリアの「株式市場はそろそろ危ない」という忠告に従ったものだったという。
そんな目鼻がきく人がいる一方で、ブロードウェイの大物演出家フローレンツ・ジーグフェルドは舞台に大金をかけてはヒットさせ、自身も株に手を出し豪華な暮らしをしていた。有名俳優がヒット作を演じたら何かご褒美をと言われ本当に「ロールスロイスをプレゼントした」そうな。これを知って私はヒット連発していた小室哲哉のあるパーティの様子を思い出した。確か、その場のノリで来場者の一人に高級車をプレゼントするということもやっていたのだ。その後の転落を思えばそっくりじゃないか。ジーグフェルドは大暴落の後は損失額3百万ドル(現在価格70億円)となり、妻に「私を慰めてくれ、でも私には慰め方がわからない」と茫然自失となり、不景気で客が舞台に来なくなり、失意のうちに数年後亡くなってしまう。妻は借金返済のためにその後20年1日も休まず働く羽目になった。

私はこのジーグフェルドについては全くと言っていいほど知らなかった。いや、実は30年ほど前、アカデミー賞関連の本を買って読んだ時、彼を題材にした「巨星ジーグフェルド」と言う作品が初期のアカデミー賞作品賞を獲ったことでその名前は知っていた。当初はタイトルからして「大きな星が地球に迫ってきた人々があたふたするSF作品なのかな」と思っていたのは今ではお笑い草やね。
好景気と狂乱の1920年代が株価暴落で終焉を迎える構図は、その後アメリカでの1987年のブラックマンデー、2008年のリーマンショック、日本での1990年前後のバブル崩壊と似たような事態が繰り返しある。私は自分が大学卒業したころからバブルが始まったのでその時の雰囲気がよく分かる。ドクターらの会話でも株やゴルフ会員権、土地購入の話題がしょっちゅうあった。前にも書いたが、先輩Drに「こてる君、君は株をしないの?ほら、朝買った株が夕方の今はこんなに上がっているんんだよ」と内視鏡検査の合間に言われたことが強く印象に残っている。同期のDrにも「天皇陛下在位50周年の記念硬貨買わないの」とか「誰かゴルフ会員権持っていないか」なども言われた。

どうも私はその手の話題に付いていけず、またあまり関心もなかった。あまり金持ちにはなれない性分のようだ。ただ、その分大損をしたこともない。バブルがはじけた頃、株をやっていた先輩はその後額は知らないが大損したようだし、同輩も記念硬貨なんて値上がりするどころではなかったし、会員権もその頃、オヤジが「蒲生カントリーの会員権買うヤツはいないか」と言うので、前述のDrに話したら今度は「いや、いらない」とにべもなかった。すでに会員権の値段がどんどん下がっている頃だったのだ。

NHKのバタフライエフェクトはなかなかいい番組だ。30年から100年以上前の世界の出来事をテーマを絞って教えてくれる。様々なテーマがあるが番組に共通するのは過去と現代の共通点を指摘してくれるところだ。翌週10月31日の「ソ連崩壊 ゴルバチョフとロックシンガー」も現在のウクライナ侵攻とプーチンが重なって見える。番組の通りであればロシアは衰退へに道を歩むことになるだろう。毎週月曜の夜はNHK総合で「バタフライエフェクト」をみんなも見ようぜ。

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