2022年10月24日月曜日

3連敗4連勝とは

ああ、ダルビッシュは好投して一時勝ち投手の権利も得て降板したのに後続が逆転2ランホームランを4番のハーパーに打たれ、パドレスは負けてしまった。1勝4敗でワールドシリーズ進出はならず。残念だがフィリーズに勢いがあった。

ア・リーグはヤンキースが、3点リードもすぐに逆転され、それでも一時5ー4とまたリードし気を吐いた。だがアストロズは強い。7回に2点入れて再逆転。そのまま強力リリーフ陣がヤンキース打線を抑え、無傷の4連勝でリーグ優勝しワールドシリーズへ進出した。ヤンキース最後のバッターはアーロン・ジャッジ。ここでもしもの同点ホームランが出て、その後延長で逆転でもしたら、さすがはジャッジとなり、そこから奇跡の3連敗4連勝なんぞやってのけたなら伝説になっただろう。

日本のプロ野球では古くは1958年西鉄対巨人戦での西鉄の「神様、仏様、稲尾様」で有名な3連敗4連勝があり、その後も1986年の西武対広島戦、初戦の引き分けの後、西武が3連敗するも4連勝し第8戦で決着したケース、1989年の巨人対近鉄戦も、巨人が3連敗を喫してから4連勝した。あと、3連敗3連勝したが結局押し返されたのが1976年の巨人対阪急の巨人で、3勝3敗になった翌日の南日本新聞には「長島巨人が逆転の4連勝をする!」と書かれてあったが、夢は現実にならなかった。ただ、日本での3連敗4連勝は確率17.6%で意外に高いと思った。3連敗でも諦めてはいけないってことだ。

この3連敗4連勝という大逆転は日本よりも歴史が長いメジャーリーグではワールドシリーズでは1例もなく、2004年のポストシーズンのア・リーグ優勝決定戦でようやく初めてのケースが起きた。東海岸のライバルチーム同士、ボストン・レッドソックス対ニューヨーク・ヤンキース戦で3連敗したレッドソックスが最終回まで負けていたのに、代走の1塁ランナー(現ドジャース監督のデイブ・ロバーツでその年シーズン半ばでドジャースからレッドソックスにトレードされていた盗塁のスペシャリスト)が果敢に盗塁をし成功、そこから同点に追いつく。延長でサヨナラホームランが出てようやく1勝を上げると、その後の3戦も勝って奇跡の逆転を果たした。レッドソックスはその勢いでワールドシリーズは4連勝で勝ち、1920年ヤンキースにベーブ・ルースを金銭トレードで放出して以降優勝出来なくなったいわゆる「バンビーノの呪い」を1918年以来86年ぶりに払拭できたのだった。1920年以降ヤンキースは常勝軍団となり、そのヤンキース相手に大逆転で勝ち、ワールドシリーズ優勝出来たのだからレッドソックスにとってはこの上ない喜びだった。翌年、対ヤンキース戦の前にワールドシリーズ優勝のリング贈呈式をやってのけ、ライバルに見せつけたのは一方は痛快、一方は悔しさの極みだったろう。この大逆転以降、ことワールドシリーズ優勝にかぎればレッドソックスが4回、ヤンキースは2009年に松井秀喜が大活躍した1回のみとレッドソックスが押している。↓ヤンキースに大逆転したレッドソックス。背番号55の松井が力なくダグアウトに帰る姿も写っている。
ところで、この大逆転をまた起こしてもらおうと、ヤンキースメンタルスキル担当のチャド・ボーリング・コーチが3連敗4連勝のシリーズのハイライトビデオを編集し、選手に見せて鼓舞したという。あれれ?そのビデオというのが先のレッドソックスの劇的な大逆転劇で、相手は当のヤンキースだよ。この事実にヤンキースの試合を中継するYESネットワークの実況アナウンサーとして有名なマイケル・ケイ氏が、自身が持つ番組で厳しく批判。「どうやったら、そこまで無神経になれるのか。頭がおかしくなったのか?」と全面的に否定し「私は04年に現役だった複数のヤンキースのOBに聞いてみた。彼らは、自分たちの屈辱的敗退を今季チームのモチベーションに使われ憤慨していた」と話したという。SNSでは賛同するファンから、ヤンキースへの批判コメントが殺到したというからさもありなん。まあ、日本で言うならヤンキースが巨人、レッドソックスが阪神ってところで、いくら大逆転シリーズが1回しかないとはいえ、ライバルチームが自分たちのチームを蹴散らすビデオを見てもねえ。

日本では意外に多いこの大逆転、アメリカでは少ないというのも何かしら国民性が関係しているのかしら。昨日のトレード話など日米での違いにやや敏感になっている私である。

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