2020年7月24日金曜日

「マイ・ディア・ミスター」は素晴らしいドラマ

「鬼滅の刃」を見終わり2回続けてアニメだったので、今度また韓ドラに戻ろうとネット通信をチェックし始めた。その中で以前から気になっていた「マイ・ディア・ミスター(私のおじさん)」(tvN、2018、全16話)を見てみることにした。定期購読している雑誌「もっと知りたい韓国ドラマ(第88号)」の2018年を振り返る座談会でまず最初に取り上げられ、ベスト1に推されていた作品である。

これは韓国の芸能記者らが年に1回まさに本音で語る覆面座談会で実のところメインの記事よりずっと面白い。「言いたい放題!」とサブタイトルがあってまさにそう。例えばイ・ビョンホン主演の「ミスター・サンシャイン」では「私はイ・ビョンホンが受け付けなくて見られなかった」「私も」といった具合に大スターであろうが本音トークでぶった切りだ。まあ別の記者二人は「さすがイ・ビョンホン、今までの彼自身を越える演技だった」「彼の演技にはやはり引き込まれる」と高評価だったがー。

「マイ・ディア・ミスター」はIUとイ・ソンギュン主演のドラマで「ドラマが伝えようとしていたメッセージが良かったし、見ながらすごく癒やされた。何で視聴者の共感を集めたのか、すごくよく分かった。それにIUは役者として高く評価できるんじゃないかな」とある記者が言っていた。すると先ほどイ・ビョンホンを受け付けないと言っていた記者が「この作品は放送開始時、『年若い女性が中年男性を好きになる話』ってことで、ちょっと物議を醸したよね。でも私はそれより、借金取りが自分に暴力を振るっているのに、ヒロイン(IU)が『あんた、私のこと好きでしょ?』って言えちゃう状況がどうしても理解できなくて、見なくなっちゃった」と否定発言をすると、もう一人のイ・ビョンホン嫌い記者が「私も」と同調した。今分かったが、この記者二人、ちょっとしたことですぐにドラマを見なくなるタイプなんだ。

私は操作ミスでなんと第2話から見始めていてドラマに入り込むのにやや大変だった。なんて設定や状況を理解するのに難しいドラマなんだろう・・と。第2話の終わり頃に第1話をすっぽかして見ていたことに気づいたのだ。すぐに冒頭から見直してみて徐々に引き込まれていった。先の「殴られても私のこと好きでしょ」もああそうだろうなとよく理解できた。何と言ってもIUがあざが出来たままのほぼすっぴん顔にブスッとした表情なのに引き込まれる。これが「麗(2016)」で王子たちに好かれまくったIUちゃんなのと多くの視聴者たちは戸惑ったのではないか。上に「マイ・ディア・ミスター」のスチール写真があり主人公二人が座って笑っているが、こんなシーンは全編通して一つもない。IUは無表情、不機嫌のままの演技を続けていた。私はいつ笑うんだろうと見ていたが、第7話のラストあたりでイ・ソンギュンとお酒を飲むシーンでやっと笑った。逆に涙をポロリと落とすのも9話のラストが初めてでとにかくイ・ジアンというキャラクターを徹底的に演じていた。↓の写真が本当である。
ま、これじゃドラマを見てくれないと制作者側が真逆の表情のスチール写真を前面に出したのだろう。

でも、このドラマ、今年私が見た韓ドラの中でもベスト3に入るほど面白く心に残る作品だった。評価点も9点で最高評価といってもいい。2、3話見たあたりで何か「ミセン~未生~ (2014/tvN)」と演出が似ているなと思って調べたら同じキム・ウォンソク監督だった。「ミセン」は社会現象を起こすほど評判になった会社ドラマで、役者たちの細かい表情に小さなエピソードをつなげ時にハッとする場面もあるなどいわゆる通常の韓国ドラマとは一線を画している。「マイ・ディア・ミスター」には出生の秘密や財閥の御曹司や記憶喪失や整形して別人になりすますなどはない。しかし登場人物ほぼ全員が「あそこに出てくる人ってみんな寂しい人たちなのよ。それが余計に心に響いたし、共感できるところがすごくあったから最後まで見られたんだよね」と座談会記者が語ったように「共感と癒やし」のドラマなんだ。「見た人はみんな『良かった』と言っている」「私はもう涙、涙だったよ」に私もうなづく。ちなみに他の主要人物では「愛の不時着」での耳野郎ことキム・ヨンミンや「梨泰院クラス」の主人公の初恋相手オ・スア役のクォン・ナラも出てくるので最近作を見た人たちにもお勧めである。

こんな上質のドラマが出てくるから韓国ドラマ界は侮れない。実は「ミセン~未生~」は中盤まで見ていてその後を見ていなかった。TV録画で録画失敗していたのと当時は韓ドラを年に1作程度しか見ない私にとって韓ドラ冬の時期だったこともある。ちょうどUーNEXTで配信されているのでまた見直してみよう。やはりネット配信の時代やなぁ。

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