2020年4月24日金曜日

漢方に副作用はないって?!

今日もできるだけコロナ以外の話題にするぞぉー。

外来である40代男性、名前が「巨人」で「まさと」と読む人だった。診察後私は尋ねてみた。「もしかしてお父さんは巨人ファンだったのですか?」「え?ああそうです」「やっぱり。で、あなたも巨人ファンですか?」「いいえ。ていうか野球も見ません」だって。親の思いは必ずしも子には伝わらないようだ。子にしたら迷惑だったかも。

今日は外来そして当直も入っていた。確か4人は入院させた。で、その大多数が90才以上だった。受け持ち患者14人中7人が90才以上、最高齢は100才だ。入院はしなかったが自分で歩いて診察に来た98才の女性もいた。いやー、私が医者になった頃は90才以上の患者を受け持つことはまれだった。それが今ではザラ。まさに高齢化社会。老人診療は今や医療の中核だ。

その中でちょっと印象的だった患者が漢方大好きな健康意識の高い90代の男性。採血をして驚いたのが電解質のカリウム値が2.2mEq/Lと極端に低かったこと。通常は3.5mEq/L以上ないといけない。一般に低カリウム血症を来す場合、利尿剤のフロセミドなどを内服していないか気をつける必要がある。副作用でカリウムが失われることが多いからだ。しかしこの患者さんは飲んでいなかった。となれば・・そう、漢方が原因だった。漢方によく含まれている甘草という成分、これが詳しい機序は省くが低カリウムを来す(偽アルドステロン症という)。漢方薬を1日2包から3包内服するとして甘草が2.5g/日以上になるとこの低カリウム血症を来す可能性がある。この患者さんはなんと4.5g/日も摂取していた。本人は薬と思っていたのが実は毒だったのだ。「漢方に副作用はない」というのは迷信に近いのだ。入院後、漢方はすべて中止させた。退院の際は処方をした開業医の先生に中止を提案しようと思う。高齢者が増えるとこの手のパターンにも気をつけねば・・。

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