2017年4月11日火曜日

鹿児島県やるじゃん、死ぬのはマダニ

平成生まれの日本人はピロリ菌陽性率が下がって1割以下とのことで、今日胃カメラした25才女性患者馬背雪さんにも「まあ、いないと思うけど内視鏡で見ていそうならピロリ検査するよ」と始めたら、あれま、萎縮性変化はないが鳥肌粘膜があり検査したら陽性反応が出た。これだから油断できないな。

鹿児島県では平成29年度から鹿児島県内に高校や高等専門学校に通う生徒、およそ1万3千人を対象にピロリ菌の感染の有無を調べる検査を無料で実施するとのニュースがあった。これを聞いて、おいおいやるじゃん鹿児島県!と思ったぞ。これは将来の胃がん撲滅、胃潰瘍や胃炎に伴う医療費抑制などまさに行政がやるべきことで良心ある政治家か行政担当者なら当然のことだと思っていた。これをすることで一定の予算支出があるが将来的には人の命を助け、医療費も減るとメリットが十分すぎるくらいだ。鹿児島だけでなく他の都道府県もやるべきだ。そういうお前は?と言われるかもしれないが、青雲会病院ではおそらく他の施設以上にこれまでピロリ菌除菌には取り組んできたと自負している。ただ、一施設では限界がある。大勢の人が一気に検査、治療することでその効果は絶大となろう。

今日の馬背雪さんなど除菌できれば胃粘膜の萎縮性胃炎もほとんど起きずに元々正常の人と変わらない胃の状態になるはずだ。彼女はたまたま症状があって検査の機会に恵まれたが、でなければ中年以降荒廃した胃粘膜から胃癌発生しそれに気付かないままということもありえた。この鹿児島県の取り組みで将来運悪く胃癌で亡くなってしまうはずの一定少数の若者が助かる。いいことだ!

夜は当直。深夜、マダニに刺されていたと大騒ぎで病院に駆け込んできた初老男性がいた。その事前の電話があまりに物の言い方や態度が悪いというか理不尽なんで、代理で出た電話口の妻に「さっきの(夫の)言い方はなんですか、なってないよ」と怒った。「すみません、夫は関西の出でああいう言い方をしてしまうんですが、もう車を出して向かっているんです」と制御しきれない様子だった。当直の光鳥Nsと当直事務に要注意人物だから対応に気を付けるようにと連絡しておいたものの、受付でやっぱり文句言うのぎゃーぎゃー騒ぐので看護師はボイスレコーダー録音もやったほどだ。

その頃は私は少し落ち着いていて、奥さんが手にしたビニール袋の虫をみれば確かに体長5mmほどのマダニだった。
刺しグチが皮内に残ることもあり慎重に外さないといけないが今すぐに生きるの死ぬのということはないと患者本人に話し、抗生剤を服用すれば大事には至らないと落ち着かせた。どうも、「ダニにやられてオレは死ぬ」とビビったがゆえの大騒ぎだったようだ。意外と小心者のようだ。確かに治療困難なウイルスで致死性のもの(SFTSウイルスなど)もある。で、私は「滅多に発症するものではないし、仮にそれにかかれば効く抗生剤なんかないからその時はその時、ここでじたばたしてもしょうがないですよ」と言ってやった。暴れ夫は診察室前の椅子にもたれ、ぐったりして返事しなかった。おいおい、さっきの元気はどうしたのかな。

「死ぬのはマダ、にぃ」・・言わなかったけど。

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