2023年11月11日土曜日

どこに癌があるか、分かりますか

臨床検査室の女性職員が「病理結果が出ましたのでサインをお願いします」と来た。いつものことだからチラッと見てサインしようとしたが、結果を見て驚いた。バレット食道癌の結果だったからだ。

10月の末に定期処方をもらいに受診した70歳代男性に「あなたはバレット食道という食道粘膜の変性が広がっているタイプだからそろそろ胃カメラを受けなさい」と11月6日に胃カメラ予約をさせていた。ただその日は私は休みになっていて胃カメラはタクミDrが行っていた。まあ、10年ほど前から毎年のように胃カメラは受けていた患者さんで、バレット食道があってもこれまで食道癌を指摘されたこともないし、それこそ「念のため」だったのだ。本当に食道癌が見つかるとは!

すぐに内視鏡画像をチェックして驚いたねぇ。内視鏡をしたタクミDrも生検はしたけれど癌ではなくせいぜい前癌病変の腺腫くらいかという記載内容だった。私は今度の11月14日に「バレット食道癌」をテーマに医局会でレクチャー発表するゆえにバレット粘膜やバレット食道癌には敏感になっている。だから検査をしたタクミDrも私のカルテ記載を受けて生検をして見ようという気になったのだ。↓がその画像写真。周囲のやや白っぽい粘膜が本来の食道粘膜で中央の大部分を占めるオレンジっぽい粘膜がバレット変性した食道粘膜である。どこに癌があるのだろうか?

少し内視鏡を近づけて見ると左下にわずかに発赤した粘膜が見える↓。〇で囲った部分、わずか数mmの発赤、それが実は癌だった。

この人は食道下部が全周性にバレット粘膜という粘膜に変性している(専門的にはLSBEという)。その一部がわずかに癌化したということだが、以前の私なら気づかず見過ごしそうだ。いや驚いた。

2週間ほど前の10月30日の日記「切羽詰まり戦法」でスライド発表前夜に大急ぎで発表準備をするネタを書いた。どうにか出来上がったものの発表は2週間延期になって拍子抜けした。その発表は3日後で今度は準備は万端と思っていたら、この症例も入れなくてはならなくなった。おっとでも今日は1ヶ月ぶりに麻雀の約束がある。明日は日曜か。幸い何も予定は入れていない。明日だ明日。結局は切羽詰まり戦法は続く運命だったのだ・・(笑)。

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