2023年8月22日火曜日

「GHQの6年8ヶ月マッカーサーの野望と挫折」

月曜にNHKで放送されたバタフライエフェクト「GHQの6年8ヶ月マッカーサーの野望と挫折」を見た。以下↓は番組の宣伝文句だ。

財閥解体や農地改革を断行した連合国軍最高司令官・マッカーサーを、日本国民は「民主主義の父」と称え、GHQ本部にはその姿を一目見ようと人々がつめかけた。そしてマッカーサーはアメリカ大統領への野望を抱くようになる。しかし、世界で共産主義が拡大すると、アメリカは占領方針を180度転換する。マッカーサーは日本の再軍備を進め、逆コースに舵(かじ)を切る。そして突然の解任。マッカーサーの野望と挫折の物語。
マッカーサーについては学生時代から本や映画などで興味があった。今回の放送でかなりの仕事人間であったということ(自身の旅行や余興などに費やすことはほとんどなかった)や日本国憲法の「戦争放棄」導入には本人がこだわっていたなどは初めて知った気がする。そして大統領選にも意欲を示していたことは知っていたが、予備選での負けが惨敗であったことは初めて知った。軍人として太平洋戦争の英雄であり人気はあっても、アメリカ国民は彼が10年もアメリカ国内を離れているという事実から大統領候補としては評価していなかったのだ。

日本でのGHQ司令官としての統率ぶりは確かにすごかったと感じ入る。それは当時の日本国民もよく分かっていて、マッカーサーに多くの感謝の手紙を送っているほどだ。日本が戦争に負けて、自分たちだけで改革しようとしてもあんなに早く大幅な改革は出来なかった。それは憲法を作らせても明治憲法を少しいじっただけという代物で「こんもんじゃダメ」と即突き返されてしまう。様々な民主化、農地改革、基本的人権尊重など当時の日本政府にやらせたら何年かかったか、あるいは古いままだったかもしれない。

GHQの政策はアメリカの対共産国への思惑などから逆コースという政策に変わったりするがそれがいいとか悪いとかは私はどっちでもとあまりこだわりはない。全体主義の国や自由のない国にならなかっただけで有り難いと思っている。日本に勝ったソ連は東欧の共産化で忙しく、中国は国共内戦でそれどころじゃなかった。米英が実質支配してくれてまだ良かった。アメリカも自国に都合の悪い情報は厳しく制限、遮断していらしいがそれくらいはあるだろうて。100%の清廉さを求めるのはたいてい悪い結果になりがちだ。

マッカーサーは朝鮮戦争でも有名な反撃作戦(仁川上陸作戦)で名をはせるが、実際には相当問題の多い指揮ぶりだったのは以前読んだ「朝鮮戦争(デイヴィッド・ハルバースタム著)」という分厚い本で知った。番組でも当然指摘していた「核爆弾使用」をトルーマンに要請するなどし、それがGHQ司令官解雇のきっかけになったが、それはやはり大統領にはなれない男だと証明したようなものだ。日本を去るときも「日本人はまだ12歳の子ども」と本当のこと(これは私の意見)を言ってしまって、それまでの日本国民の人気を下げる後味の悪さで終わってしまった。(ただ日本人がいずれ立派に立ち直るであろうことを予言していたのはさすがだった)

彼は有能さと唯我独尊、パフォーマンス優先などの両面を持ち、大衆人気と実質評価との乖離のある興味の尽きない人間であることは間違いない。日本が彼の影響のもと戦前を改革し戦後を歩み始めたのは事実でそれがよく分かる番組であった。

0 件のコメント:

コメントを投稿