ライター・コラムニスト・編集者の和田豊史(わだ・とよし)という人が書いたコラムで、タイトルは「映画を倍速で観る人たち」、サブタイトルが「趣味にも及ぶ効率主義と余裕のなさ」というものだった。↓。最近は写真から簡単に文字変換出来るので全文掲載しておこう。
次に「タイパ」を追い求める人が物えたこと。「タイパ」とは「タイムパフォーマンス」の路で、かけた時間に対する満足度を表す、ここ2年ほどで生まれた造語だ。「ドラマ1本50分を半分の25分で観られたらタイパがいい」と使う。効率主義の極みだが、中には、結末までのストーリーを先に「ネタバレ」サイトで読み、「観て損はない」という確証を得てから観始める若者もいる。駄作をつかんで時間を無駄にしないための工夫、リスクヘッジというわけだ。
映画やドラマを初見時から1.5倍速、2倍速といった再生速度で観る「倍速視聴」や、退屈なシーンをスキップしながら観る「10秒飛ばし」をする人が増えている。2021年の民間調査によると、20代から60代の34.4%に倍速視聴経験があり、20代は49.1%を倍速視聴経験者が占めた。ちなみに倍速機能はNetfixなど多くの定額制動画配信サービスに実装されているが、技術の進化は凄いもの。1.5〜2倍速程度なら十分聞き取れるし、声も高くならない。VHS時代の「聞き取れない早口」とは違うのだ。
ここには主に3つの背景がある。まず、定額制動画配信サービスの普及によって、手軽かつ安価に観られる映像作品が激増したこと。話題になっている作品を全部“押さえる” には、倍速で時短視聴するしかない。特に若者の場合、SNS上や仲間内で話題になっている作品は全て観ておかなければ遅れてしまう.....という焦燥感が大人以上に働くため、倍速視聴に至りやすい。
ここには主に3つの背景がある。まず、定額制動画配信サービスの普及によって、手軽かつ安価に観られる映像作品が激増したこと。話題になっている作品を全部“押さえる” には、倍速で時短視聴するしかない。特に若者の場合、SNS上や仲間内で話題になっている作品は全て観ておかなければ遅れてしまう.....という焦燥感が大人以上に働くため、倍速視聴に至りやすい。
次に「タイパ」を追い求める人が物えたこと。「タイパ」とは「タイムパフォーマンス」の路で、かけた時間に対する満足度を表す、ここ2年ほどで生まれた造語だ。「ドラマ1本50分を半分の25分で観られたらタイパがいい」と使う。効率主義の極みだが、中には、結末までのストーリーを先に「ネタバレ」サイトで読み、「観て損はない」という確証を得てから観始める若者もいる。駄作をつかんで時間を無駄にしないための工夫、リスクヘッジというわけだ。
3つ目は、登場人物の感情やその場の状況をセリフで全て説明するタイプの作品が増えたこと。昨今の国内ドラマやアニメ作品に顕著な傾向だが、要は、とにかく「分かりやすさ」を求める大衆に制作側が阿(おもね)り続けた結果。そういう作品ばかりを観て育った、特に若者たちは「重要なことは全てセリフで発される。 つまり、セリフのないシーンはスキップしても構わない」と考える。
注意したいのは、彼らが必ずしも「長尺」を嫌っているわけではないということ。嫌っているのは「冗長さ」と「不確実性」だ。テンポが速く情報が詰め込まれた物語なら、あるいは「絶対に面白い」という保証や「話題に参加できる」といった実利的な見返りが確実に見込めるなら、長時間拘束も厭わない。
一見してスマートな合理主義。ただ裏を返せば、趣味の領分にまで費用対効果を持ち込まなければならないほど、時間的・精神的に余裕がない若者が増えたということでもある。余裕がない若者を生み出したのは、言うまでもなく余裕がない社会だ。その余裕がない社会を生み出したのは当然ながら、われわれ大人たちである。
注意したいのは、彼らが必ずしも「長尺」を嫌っているわけではないということ。嫌っているのは「冗長さ」と「不確実性」だ。テンポが速く情報が詰め込まれた物語なら、あるいは「絶対に面白い」という保証や「話題に参加できる」といった実利的な見返りが確実に見込めるなら、長時間拘束も厭わない。
一見してスマートな合理主義。ただ裏を返せば、趣味の領分にまで費用対効果を持ち込まなければならないほど、時間的・精神的に余裕がない若者が増えたということでもある。余裕がない若者を生み出したのは、言うまでもなく余裕がない社会だ。その余裕がない社会を生み出したのは当然ながら、われわれ大人たちである。
なかなかよく分析している。ただ、この著者が何を言いたいのか今一つよく分からない。映画やドラマは趣味として楽しむべきものだからじっくりと味わって欲しいということなのか。制作者側は時間とお金を掛けて作っているのだし、映画ドラマは娯楽や趣味なんだからあんましせっかちに観て欲しくないよって。うーむ、私はこの著者の意見にほとんど賛成できない。なんとなれば、私こそまさに倍速で観まくっているタイパ人間だからだ。
私が2007年に韓ドラにハマった頃、TSUTAYAで借りるDVDを選ぶために韓ドラ雑誌を購読し始めた。韓ドラは1作16話から20話程度あり旧作DVDでは1枚2話収録され1週間で200円つまりは1600円から2000円の賃貸料だった。それだけのお金と時間を掛けるからには雑誌などで事前に面白いとか視聴率がよいなどの評価された作品を調べておく必要があった。だから、冬のソナタとチャングムから始まり最初の20作くらいまでは面白くて本当に夢中になって観続けたものだ。そんな事前調査をやってもその後いくつか駄作に出会って借り損した気分にもなったりした。1年ほど50作ほども観まくって落ち着きその後はたまに鑑賞する程度だった。
そんな状態が一変したのが2019年にネット配信鑑賞を始めてからだった。それまで8年で20作も観ていなかった私が配信で「トッケビ」を観てから1年で40作も韓ドラを観まくったのだ。その時、Amazon PrimeやdTVが速度調整が出来ずイライラしたのに比べ、UーNEXTが細かな速度調整が出来るのと韓ドラ配信数が多かったのでそれと契約したのだった。特にドラマでは冗長なシーンが続くことがあり、それは視聴者にとってそれは我慢あるいは修業か?って思えることすらあった。速度調整することと気軽にお試し視聴できることで、結果年数作しか観ていなかった韓ドラが約10倍もの作品数を観ることにつながった。それって制作者側にとってもいいことじゃない?
時に作品によってはディレクターズカット版というものがある。興行や放映時間の制約のために制作者が本当はこういうシーンも出したかったんだと編集し直してDVDなどで発表するやつだ。これがたいていつまらない。無駄なシーンが多く感じられ、それこそ倍速か10秒飛ばしをしたくなるんだ。逆に自分が好きなシーン、感動したシーンなどは改めて通常速で観ることもある。それでいいんじゃないか。私は通常のTV番組でも余計なところでCMが入るのが嫌で、リアルタイム放送でもREGZAのタイムシフトマシンにして10分くらい遅れて視聴することが多い。そうするとCM時にパッパッと飛ばしてストレスなく楽しむことが出来るのだ。
最近ではdTVもNetflixも倍速視聴が出来るように改変している。Amazon Primeは基本は出来ないがChromeなら裏技で倍速可能だ。大手で出来ないのはディズニープラスくらいか。ふふ、さすがは映画制作会社が親元だけに倍速嫌いなんだろうな。時間的・精神的に余裕がない若者(私は「でない」が)だって?違う違う。これまで作り手側の一人よがりに対して視聴者側が反発が出来るようになっただけのことなのだ。これまで特にCMがからむ地上波韓ドラではなんでもかんでも16話にするために中盤の無駄なエピソードシーンなどがあった。それがNetflixが制作する韓ドラなど最近は10話前後で十分見応えのある作品も出てきている。
倍速視聴や10秒飛ばしが出来るようになってより能動的に映画やドラマを楽しめるようになった現状は決して憂えるものではない。ディズニープラスがあくまで倍速視聴を認めなければ加入者はそれほど増えてこないと思うし、いずれディズニーも視聴者の軍門に下るだろうと私は予想するものである。
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