2023年3月15日水曜日

その患者、実は

午後の外来で呼吸困難、発熱で苦しがっているという高齢男性がいた。呼吸器外来で先月から内服治療を受けていた患者で、私が診るのは初めてだった。

実は2月の前半にコロナ陽性になってコロナ治療薬がシマッチ院長から出されていた。それから2週間経って今一つ呼吸状態が改善せず呼吸器外来を受診していた。CTではごく軽い肺炎もあって抗生剤や気管支への治療薬が出されていた。それで一時的には改善もあったようなのだが・・。

胸部CTを見て私は愕然。間質性の肺炎様所見が広がっていた。これはいかん、入院して積極的な治療をせねばー。動脈血も採取したりした後、本人や家族にもそのように説明し入院指示を出した。そして念のためと、入院前のコロナ抗原定量検査指示を出していた。後は入院させて、場合によっては気管挿管、人工呼吸もありうると覚悟していた。

ところが、看護師からの連絡で事情が一変。「先生、コロナ抗原がかなりの陽性です!」と。なんと2月に測定した時より高いくらいだ。となるとこの肺炎はコロナによる肺炎と考えられる。確かにそれは思ったが、コロナ感染して1ヶ月以上経過していれば治癒しているはず。しかしこの人、免疫が抑制されるある病気を持って治療していることが分かった。となるといったん消えたかのように見えたコロナウイルスが実は潜伏しており肺炎を引き起こした・・と考えられる。↓は順天堂大の症例だが青雲会病院のもほぼ似たような所見だ。
それはともかく、コロナで重症管理が必要となればうちでは治療が出来ない(中等症までは治療出来る)。そこから鹿児島市内の病院に電話したり、保健所に連絡したりでバタバタ。受け入れ予定病院も保健所や県の指示を待ってからなんて言うのよ。2時間近く費やしてようやく救急車で搬送出来た。

コロナも最近はほとんど見かけなくなった・・と思っていたら、病気の神様はそんな油断をあざ笑うかのようにこんな患者さんを送り込んでくる。ははーっ。

0 件のコメント:

コメントを投稿