2022年6月8日水曜日

「我が心のテレサ・テン」

朝、カールが庭を見て「やだ、バジルがやられている」とプランターを指さした。アナグマがあさったのか。土の下に何か実が成っていると思っての仕業に違いない。幸い、葉っぱは食べられていなかった。いやいや、しばらくはアナグマへの対策が必要とは、参ったわ。私は囲碁は打つけど将棋は指さないのにねぇ。


先週放送のNHKの「映像の世紀バタフライエフェクト」であった「我が心のテレサ・テン」を録画で見た。台湾生まれで一度も中国大陸を訪れていなかったテレサ・テンの歌が中国大陸の人民の心を深くとらえていた事実とテレサ・テン自身は台湾も中国本土も香港も関係はなく皆「中国人(チャイニーズ)だ」という態度を生涯貫いていたいう内容だった。少しだけ日本でのデビュー時の映像も出ていたが、多くの日本人がイメージするのは「つぐない」「愛人」「時の流れに身をまかせ」などの演歌系の歌手としてだろう。しかしそれ以前から彼女はアジア、中国語圏では幅広いジャンルの歌を歌える大スターだった。

番組では彼女の代表曲として「月亮代表我的心(日本語バージョンはなく『月が私の心を表している』と訳される)」が何度も登場した。これは個人的にもうれしかった。彼女の曲で私が一番好きな歌だからである。日本でヒットした曲も悪くはないがこの歌には全く敵わない。元々は彼女の曲ではないが1977年に彼女が歌ってから大ヒットした。私は彼女の有名な曲とは知らず、偶然ある韓ドラ(「四姉妹物語」2001MBC)の主題歌だったことで大好きになったのだ。その時の曲はテンポもやや速くポップなアレンジだったが、テレサ・テンの情感込めた歌い方も相当なものだ。密かにカセットで聴いていた中国の若者らが「こんな歌い方は聴いたことがない」そして「この歌を聴くまで自分たちが抑圧されているとは気づいていなかった」と驚いたそうだが、「愛」とは「毛沢東」や「共産党」がらみを愛することしか知らなかった時代故に驚きまた深く心に染みたということだそうだ。
テレサ・テンは生涯、中国本国が自由化するのを願っていた。天安門で学生らのデモが起きていた頃に、香港在住だった彼女は香港での集会で学生支援の歌も披露している。しかし33年前の6月4日に天安門事件が起きてしまう。そのせいで大陸で翌年予定されていたコンサート開催は不可能になった。彼女の両親は中国河北省出身の戦後台湾に移った外省人で彼女はぜひともルーツである大陸で歌いたかったはずだ。

今、中国は専制主義の国だ。中国の憲法によると「共産党の指導の元に」全てが動くと明言され、それに反すれば刑務所行きかもしくは・・である。だがいずれは崩壊するはず。10年、100年かかろうが自由を抑圧する社会がずっと存続するはずもない。そして、かつてのように禁止されてもテレサ・テンの歌はずっと民衆に聴かれ、歌われ続けるだろう。

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