2021年5月13日木曜日

ノーマン・ロイドが亡くなったって?

朝刊で米俳優のノーマン・ロイドさん106歳で亡くなったというニュースがあった。106歳?ずいぶん長生きしたなー。でもこの名前、どこかで聞いたことがある。経歴を見ると・・。

なんと、ヒッチコックの映画「逃走迷路(1942年)」で映画デビューとは。「逃走迷路」はヒッチコック作品の中でもさほど知られてはいないが、主人公巻き込まれ型のプロットでヒッチコックにはよくあるタイプの作品だ(同系統で有名なのが「北北西に進路を取れ(1959年)」)。で、この作品でのノーマン・ロイドは悪役で自由の女神でのラストシーンが有名。
今から見るとたいしたことはない特撮だけど、当時はハラハラがすごかっただろうね。戦時中の作品だから日本では戦後に公開された。このころの役者さんは今ではほぼ亡くなっていたと思っていた。ノーマン・ロイドさん、映画ではあっけなく死んじまったが、現実世界では長生き、いい生き方だったね。

ちなみに私の大好きなヒッチコック映画の「レベッカ(1940年)」の主人公ジョーン・フォンテインも長生きして2013年96歳で死去した。さらにちなみに言うと姉妹仲が悪かったことでも有名な姉のオリビア・デ・ハビランド(「風と共に去りぬ」のメラニー役が有名、「遙かなる我が子(1946年)」と「女相続人(1949年)」でアカデミー主演女優賞受賞)は2020年104歳まで生きていたから長生き姉妹だった。「レベッカ」はアカデミー作品賞を取り、ヒッチコックの次作品「断崖(1941年)」でフォンテインはアカデミー主演女優を取る。妹が先に賞を取ったことが姉妹仲悪化の遠因だとか・・。
上が妹のジョーン・フォンテイン、下が姉のオリビア・デ・ハビランド。似てるネ。

それはともかく、実はヒッチコックはアカデミー賞では一度も監督賞は取れず(ノミネートは5回もある)、作品と主演賞を取ったのはこの2作品のみで、当時はサスペンスものが冷遇されていたことと重なる。しかしアカデミー賞を取った凡百の監督たちよりもずっとヒッチコックは賞賛され、いまだに影響力を与えている。「サイコ(1060年)」はヒッチコックに監督賞を取らせてあげたかった。この映画では監督としての腕が冴えわたっている。同年受賞したのはビリー・ワイルダーの「アパートの鍵貸します」でこれもいい映画だったが、後生に与えた影響は「サイコ」にかなわない。そこはアカデミーも分かっていて晩年に名誉監督賞を授与したのだが・・。

最近、Netflixで「レベッカ」の再映画化を配信していた。予告編をチラッと見ただけで本編はまだ見ていない。白黒映画ではあるけれど1940年のヒッチコック版が、主役のジョーン・フォンテイン、ローレンス・オリビエ、そしてダンヴァース婦人を演じたジュディス・アンダーソンがはまり役でどうせならそっちを見たい気がする。ジュディス・アンダーソンってほとんどの日本人は知らないはずだが、すでに「レベッカ」を見ていた私は1992年の南日本新聞に死亡記事が出ていたのを見逃さなかった。「へー、脇役でも記事になるんだ」と覚えている。ついでに言うとこのジュディス・アンダーソンも94歳という高齢での死去だった。↓はジョーン・フォンテインにささやきかけるダンヴァース婦人ことジュディス・アンダーソン。気がつくと後ろに立っているという演出で不気味だったわ〜。

ノーマン・ロイドの死亡記事でヒッチコックにハマっていた30年ほど前を思い出すことだった。

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