2015年11月4日水曜日

轟くエンジン 飛びちる火花

内視鏡の検査中、ふっとある一節が頭に浮かび気になってネットで調べてみた。それは西条八十(西條八十)が作詞した岡山の倉敷工業の校歌の中にある「轟くエンジン 飛びちる火花」だ。先月民放BSで西條八十特集を見たのが脳裏に残っていたのだろう。倉敷工業は最近はさほどの活躍はないが高校野球オタクなら知らない人はいない(はずだ)。しかしその校歌までは私は知らず、今年8月に買った「校歌の大甲子園史」で初めて知った。強豪校、伝統校などの分類の中で同校歌は名曲校編に入っている。以下に一番の歌詞を記す。

水島灘の 沖ゆく白帆も
あこがれ仰ぐ 緑のいらか
轟くエンジン 飛びちる火花
意気と力の 溢るるところ
我等が学舎 倉敷工業

何と言っても赤色でしめた「轟くエンジン 飛びちる火花」のこの一節が素晴らしい。さすがは西条八十。かつてこの日記で村田英雄の「王将」一曲をネタにしたことがある。この歌は船村徹の曲も素晴らしいが出だしの「吹けば飛ぶよな将棋の駒に」この一節が常人には思いつかない屈指の出来映えで八十自身も村田英雄に幾度も頼まれた際にこれを思いつき「よしこれで大丈夫だ(出来る)」と周囲に言ったと聞く。ちなみに三番の歌詞「明日は東京へ出て行くからは なにがなんでも勝たねばならぬ」も涙が出るほど素晴らしい。倉工の校歌も山陽新聞の金平東京支社長が西条に依頼したそうだが、きっとこの「轟くエンジン」がひらめいて「よしっ」と膝を叩いたのではないか。

西条八十は昭和歌謡の一大立役者だ。「旅の夜風(花も嵐も踏み越えて〜)」「誰か故郷を想わざる(花摘む野辺に 日は落ちて 〜)」「青い山脈(若く明るい 歌声に 雪崩は消える 花も咲く〜)」など誰もが知る名曲だ。おや?今気がついたが三曲とも出だしに「花」が出てくる。森村誠一の「人間の証明」でも有名になった詩「ぼくの帽子」にも「車百合の花」が出てくる。花は西條八十の作風のキーワードかもしれない。おおそうだ、今日のネタにも「火花」って出ているじゃない!そんな発見をし一人悦に入る私だった。

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