2015年6月29日月曜日

マリックはしくじったのか

TBS系の番組「しくじり先生」でMr.マリックが出ていた。何がどうしくじったのかというと、本来純粋なマジック(手品)であるべきところ、その不思議さに目を付けたTV局に乗せられ、さも超能力者であるかのように振る舞い大変な反響と人気を得たが、やがてその反動(アレは実は手品だの批判、なんだウソついていたのかの落胆と抗議)で賛否両者からのバッシングを受け、顔面神経麻痺を起こしたり、娘がいじめに遭い親子断絶になったりしたんだそうだ。本人も「本当はマジックなんだが」との思いがありながら超能力者としての人気が圧倒的でそれに乗っかってしまった罰を受けたと反省していた。バッシングの後しばらくTV局からは声が掛からなくなるも、栗間太澄(くりまたすみ)というマジシャンとして再登場してからは開き直り、マジシャンMr.マリックとして相変わらず切れのいいクロースアップマジックを見せ、たまにはマジックのネタを暴露したりもし安定した人気で現在に至っている。

私は彼が登場した時のころをよく覚えている。「ハンドパワーです」「来てます、来てます」と確かに超能力を思わす言い方で間近に見ていてもそうとしか思えない不思議な現象を見せつけていた。しかし私はそれが超能力だと1ミリも思ったことはなかった。きっとタネがある手品だと確信していた。ユリ・ゲラーが登場した私が中学生のころならまだしもそのころはUFOにしても超能力にしてもそんなものはないと断言できるようになっていた。そのうち暴露本「マリックの嘘」だったかな、も出てなーるほどそんなトリックか逆に感心したりしていた。そしてマリックの語り口のうまさにエンターテイナーとして素晴らしさをみたのだった。

カールは私と同類で「(超能力を)信じる方がバカだわ」とケチョンなのだが、問題はマジックには興味は持たないけれど超能力だと言えば俄然興味を持つ一般大衆だろう。TV関係者は明かにマジックだと分かってそれでも演出すれば視聴率が稼げるものだからそうやっていた。マリックが述懐するには「山を買うからどこに埋蔵金があるか教えて欲しい」とか「5人ほどのスキンヘッドの男性が来てお寺の教祖になって欲しい」とか「持って来た風呂敷包みの中の毒物カプセルを嫌いな人の胃の中にテレポーテーションして欲しい」などの変な連中が家に来るようになったという。いずれも彼を超能力者だと信じての悪行だ。やがてマジックだとカミングアウトすると、「ダマしていたんだー」と信者らは非難轟々だったという。そのころ私は霧島の老妻病院に週2回勤務していたが、そこの某看護師に「あれはマジック、タネがある」と気軽に言ったら「いいやー」とマジで否定され、逆にびっくりしたことがある。私やカールみたいに懐疑的で不思議なものを信じないタイプばかりではないのだ。

マリックは仕掛ける側のしくじりでどちらかと言えばあんまし私たちには参考にならない。世間には不思議さに惑わされ騙されてお金を払ってしまう一般大衆がいかに多いことか。怪しい儲け話、効果のある健康食品&器具、あなたの願いが叶う宗教などなど。マリックは比較的まじめでさしてみんなに害を及ぼしてはいない。類い希なるマジシャン&エンターテイナーだと思う。しくじってはいけないのは我々大衆側である。

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