2023年9月1日金曜日

偏愛「若い力」

私が偏愛する音楽には一般的なものと特殊少数派のものとがある。一般的なものと言えばまずはビートルズソングだ。これはかなりメジャーで私以外に何万何億人というファンがいる。その他に昭和歌謡がある。これも中高年には当たり前といっていい好みだ。クラシックもたまに聴くし一時はアイドルソングも特にAKB48の楽曲はほとんど知っているといえるほどハマったこともある。以上は一般的な音楽といえるだろう。

少数派といえるものは唱歌・童謡の類いだ。子どもの頃から大好きでかつてはレコード、CDで揃え、今はYouTubeでもよく聴いている。どうして好きなのかは説明が出来ない。学校で習った時から好きだった。アニソンはそれほどでもなく2日前に書いた「ランのうた」は例外だ。その歌を日記ネタにすべくYouTubeを検索していたら、かなりの少数派ともいえる歌「若い力」もYouTubeで見る羽目になった。「若い力」とは国民体育大会の公式歌だ。「♪若い力と感激に〜燃えよ若人胸を張れ〜」の出だしを知っている人も多いだろう。この歌が私は大好きなんだ。

この歌、小学6年から中学1年の頃、学校でよく聴いた。なぜなら鹿児島で初の国民体育大会(国体)が開かれるため小中学生もマスゲームやら練習をよくさせられ、行進の際にもよく流れていた。今から15年くらい前のTV「ケンミンショー」で「金沢に住む石川県民は「若い力」を歌わずに踊る?!」と紹介されたことがあったそうだ。カールのママ友にユキ〜ノさんがいて彼女は金沢出身だ。そのケンミンショーの話題があったころ、「あんたも踊れるの?」と聞いたら「まあそうね」との答えだったそうだ。本当だったんやね。

金沢市によると、「この歌は戦後間もない昭和22年に金沢市を中心に開催された第2回国民体育大会(石川国体)で「スポーツの力で国民に元気を」との思いで制作されました。そして、その時にこの歌に合わせた集団演技も創作され、国体の開会式では金沢市の小学6年生男女約4,000人による集団演技が披露されました。以来、「若い力」の演技は、70年以上にわたり受け継がれ、今でも毎年9月下旬に開催される金沢市立小学校連合体育大会で、全市立小学校の6年生が若い力発祥の地金沢市営陸上競技場で集団演技を行っており、金沢市のスポーツ文化の伝統となっています。金沢市民に馴染み深く、親しまれている若い力の演技をこれからも金沢市の伝統として継承していくために、金沢市スポーツ事業団は「若い力プロジェクト」を立ち上げました」のだと。

おお、金沢市民は「若い力とその集団演技」を「金沢市スポーツ遺産」として永久保存する気満々のようだ。↓が昭和22年、上が令和4年で75年以上もの歴史がある。


地元アイドルによる「若い力演技動画」も公式YouTubeとして披露され、一般の人たちも運動会での子どもたちの演技もアップされ、金沢市民の「若い力」への情熱と誇りは並々ならぬものがある。→https://wp.kanazawa-sports.jp/offical-PRgirl/

私はこの歌の元気さ、溌剌さが好きなのだが、作詞にも感服している。歌の出だしが素晴らしく忘れがたいし、最後の「競え青春 強きもの」もいいねぇ。

若い力

若い力と 感激に
燃えよ若人 胸を張れ
歓喜あふれる ユニホーム
肩にひとひら 花が散る
花も輝け 希望に満ちて
競え青春 強きもの

薫る英気と 純情に
瞳明るい スポーツマン
僕の喜び 君のもの
上がる凱歌に 虹がたつ
情け身にしむ 熱こそ命
競え青春 強きもの

そして一番の歌詞の中程「肩にひとひら 花が散る」がいい。「力」「感激」「燃えよ」「歓喜」、これらは国体の歌を作るとしたら多くの人が思いつきそうな言葉だ。でも全編そのような言葉で埋め尽くされたらお腹いっぱいで歌うのにも疲れそう。起承転結の「転」に当たる体育ともスポーツとも全く関係のない「ひとひらの花」を登場させる、憎いねえ。そして自ら登場させた「花」に対し「花も輝け 希望に満ちて」と受けて決め文句「競え青春 強きもの」で締めくくっている。
二番の歌詞では「僕の喜び 君のもの」と「情け身にしむ 熱こそ命」がいい。「僕」と「君」の文言は当時新しさを感じさせたことだろう。ただ今では「何それ、ブロマンス?LGBT?」なんて言われかねないがー。そして「情け身にしむ 熱こそ命」このやや文語調の歌詞がいいんだ。今風、JPOP風ではこんなに簡潔には表現出来ない。

ここまで書いて、この歌の詞で私はなぜか昭和の偉大なる作詞家西條八十を思い出した。たとえば村田英雄の「王将」の「吹けば飛ぶような将棋の駒に」や「明日は東京に出て行くからは」など印象的で何度も口ずさみたくなる歌詞や、日記ネタにした甲子園常連校の校歌で彼が作詞した岡山の倉敷工業の「轟くエンジン 飛び散る火花」などよく似ている。で、Wikipediaで調べて驚いた。作詞者の佐伯孝夫は西条八十の弟子だったのだ!「銀座カンカン娘」「有楽町で逢いましょう」「潮来笠」や「いつでも夢を」を作詞した人でもある。へーーえ、いや、なるほど西條一門の薫りが感じられたわけだ。私は大いに納得したのであった。

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