2018年5月2日水曜日

ホキ美術館名品展

鹿児島市立美術館で開かれていた写実画のホキ美術館名品展にカールと行った。南日本新聞などで先月から宣伝され行こうと思いつつ今日になった。どんな作品があるかは事前に新聞などで紹介されわかりやすさはそれこそ一目瞭然、「まるで写真みたいな」が決まり文句の作品群である。数年前、週刊現代だったかポストだったかにこれが紹介され、リアルさと写真よりも味わい深いタッチに驚き雑誌をデジカメ写真に撮ったくらいで実物が見られるとあっては珍しく自分から見ようと思った(私は美術展はそんなにいくほうではない)。

まず最初に目に入るのが女性のヌードだ。ほう。寝そべってポーズをとっている。次は同じモデルの女性とおぼしき立位のポーズでモロ見えだ。昔ヘアヌード写真が週刊誌などで出せなかった時代なら猥褻だと言われかねないが現代ではそういった感慨はなく、こんなきれいな体できれいに描かれ素敵ってなもんだ。遠くで見ると写真と見まごうが近寄って筆致をみると明らかに描いているのだと分かる。やがてポスターにもなっている生島浩の「5:55」があった。

これはこの展覧会随一の人気作品でこれの葉書など売り切れているそうだ。モデルとなった女性を見ればきっとあなたでしょうと言えるほどリアルな作風で微妙な心情も絵の中からうかがえるようで解説に「夕方5時55分になってそろそろ帰れる前のソワソワしたような状況を捉えた絵という解釈が一人歩きした」とあり実際はそうではないということのようだが、その解釈の方が確かに分かりやすく面白い。実際の作者の言葉は以下のようだ。

・・・「絵のモデルになってくれませんか?」と、私が女性に声をかけて成功した試しが一度もありません。そこで近所の公民館で働いていた彼女を私のアトリエに通えるよう、知人の女性、三人の協力を得て説得しました。このようにして「5:55」(5時55分)という作品ができたのですが、色調も地味なこの絵が思っていたより評判が悪くないようなので、ちょっと驚いてしまいました。おそらくは、この絵に対してというよりは、この絵に登場している彼女の魅力に反応しているようにも思えます。言い訳をすれば、時間的制約の中で筆跡も少々乱れてもいますので、どうか覗き込むように絵を観ないでください。」
さらに続けて、「私の考える写実とは、対象物に克明に迫るものではなく、表現手段に因る技術的構築がキャンバスの上で為されたかどうかに関心があります。確かに「5:55」の空間を自分が演出し得たのか、実に気になるところです。さて、今後も彼女をモデルとした絵を描いていきたかったのですが、残念ながら拒否されてしまいました。自分の絵作りに夢中な私がモデルさんに振られても当然の事と納得はしています。」だと。

見つめられてじっとしているだけのモデルなんてきついし確かにいやだろう。でもこの絵のおかげでこの女性はもしかすると永遠の命をもらったことになるかもしれない。現在生島浩氏の絵はかなり高値で売られ完成すると何十人もの注文が殺到するそうだ。この女性を見つめて気がついたが少し甲状腺が腫れっぽくないかな?もしかすると甲状腺機能亢進症の気があるかも。

女性像だけでなく風景画、静物画もあり大きなロブスターの絵「島村信之:幻想ロブスター」は大迫力で「普通は人間が食べるものなんだけど逆に食べられそう」とカールが驚いていた。リアルに見えるが写真ではこのような表現は出来ないだろう。
五味文彦の「レモンのある静物」は剥かれたレモンがまさにそこにあるかのようなしかし現実のレモンよりずっと輝き新鮮に見えすごいなあと感嘆。


子どもの頃、日展だったか二科展だったか学校で見に行かされ、へーえと眺めていた中に写実画の作品が1点だけあった。そのホンモノそっくりぶりに印象に残ったが当時はその作品はあまり評価されていなかったようだ。なぜ今の時代に写実画が人気があるのかよく分からない。わかりやすさと写真とは違う味わいが人気なのかも。見終わって特集の雑誌やプリント、葉書が売られていたが例のごとく買わずに帰った。買い始めれば切りがないんでね、こんなのは。

3 件のコメント:

  1. ヒトミンチョ2018年5月10日 21:05

    私達も行きましたよ~4日に

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  2. ほほう、フサンコ画伯も見たのかなぁ?

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  3. ヒトミンチョ2018年5月11日 21:51

    やつは何時間の見たようです

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