2016年5月4日水曜日

「沈まぬ太陽」

今日は長島のバタフジ院長に頼まれていた休日当番日の代診をした。午前は外来や大腸内視鏡で忙しいが午後はヒマになるだろうと山崎豊子著「沈まぬ太陽」文庫本全5巻の第1巻を持っていった。バタフジクリニックはネット接続はあるもののWiFiがなく以前から読もうと思っていた本を読むいい機会だ。実は「沈まぬ太陽」を買ったのは6年前ほど前でいつか読むだろうでその間ずっと居間の本棚に陳列されたままだった。(その手の本がいくつもありその代表はドフトエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」文庫本全5巻だ)

旧「こてる先生のホームページ」に映画「沈まぬ太陽」を話題にしたことがある。それは青雲会病院のシマッチ院長が「実はうちの嫁はんが結婚前のことだが日航123便に乗る予定だったのをキャンセルし東京で1泊したことで墜落事故の難を逃れた」というエピソードを絡めてのことだった。カールもこの本を借りて読んだことがあり面白かったとのことでその後買って飾っておいたのだった。

墜落事故のあとも経営や労務などいろいろ問題があると週刊誌などで叩かれていたのを知っていたが、本書発行時には会社は本の内容が不当ということでマスコミなどを通じて批判をしていた。第1巻のアフリカ篇は主人公の恩地元(モデルは日航労組元委員長の小倉寛太郎氏)が労務折衝で会社に蛇蝎のごとく嫌われ、数年おきに中東、アフリカとたらい回しに飛ばされ鬱屈した時期を描いている。実は会社のこの人事は不当なものであり、国会でも問題にされ不当判決も出て帰国することになるが、日航の体質がよく出ていている(国や議員の方を向いている親方日の丸、まともな労務対策をしない)。日航は本書に描かれた悪弊が改まることなく10年経過し、その映画公開後まもなく経営破綻し会社更生法適用されることになる。ただ、あの稲盛和夫さんが会長になり短期間で業績回復し今に至っているのはご同慶の至りだが、一度倒産しないと分からなかったんだな。

山崎豊子の小説は「白い巨塔」「大地の子」など事実を元にし読者に情報提供もしながら組織や運命にあらがいながら息抜く主人公を据え物語りを展開し、どんどん先へ読み進める。今日もあっという間に第1巻を読み終え2巻目に移った。この調子なら1週間もかからず最後まで読み終えそうだ。聞けばWOWOWでドラマ化されこの5/8から全20話放送されるらしい(主人公は「大地の子」と同じ上川隆也)うちはWOWOWに入っておらず見ることができないのが残念だ。彼女の作品って映像化しても人気が出るのが多く(特に「白い巨塔」は何度もリメイクされそのたびに人気があった)改めてすごい作家だったんだなと思う。

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