2015年12月28日月曜日

二度あることは三度ある

昨日の当番医のせいか入院患者が24、5人になった。これはおそらく今まで最高の受け持ち人数だ。昔だったらとてもそんな数の患者を診ることは出来ないと思ったはずだが慣れてきたのかな、ぎりぎりやれるという感覚である。人間、慣れるってすごい。

それでも幸い午前中は内視鏡検査をせずに病棟に専念できたからよかったが、今日は大腸内視鏡が下血患者2人を含む7人もいた。実は昨日時間外救急で2人の大腸を見たところ憩室出血原因は分かるもどの憩室からか出血源が不明だった。血だらけ糞だらけでは見つけるのはほとんど無理ってこと。それで今日は腸管洗浄液を飲用して再確認だ。しかし1人目は逆に全く出血痕跡がなく憩室も50個以上あり見つけられず。2人目もそこが心配だったがこの人は上行結腸に出血痕跡があって見つかった。見つかればほぼこっちの勝ち。クリップもしてさらに新しい止血法のゴムバンド結紮(EVL法)もして万全の止血が出来た。

前にも書いたように大腸憩室出血は内視鏡止血の中でもやや難しい方に入る。それは出血源を特定しにくいからでそれさえ分かれば難しくはない。最近読んだ九州大名誉教授水田祥子氏の「私の履歴書」に大腸憩室出血を2度経験した記事があった。どちらも2週間入院し絶食点滴と自然止血で退院したとある。これなんか最初の下血の時に出血源憩室をつぶせれば再発しなかったはずだが天下の九大病院でも「憩室の数が多すぎて」出来なかったそうだ。以下にその記事を抜粋しよう。

・・私自身、「まさか」と思ったことが1回だけあります(笑)。それは数年前、福岡学園の常務理事の時。腸から突然出血した時。年齢からすれば、「大腸がんじゃない?」と思った。2日間くらいそのままにしていたけれど、出血が止まらないので、九大病院に行ったら、皆が色めきだって、「水田さん、がんだ」とか言って……。痛みもなく、痩せもしないし、お通じはある。内視鏡をしたら、大腸憩室。でもたくさんあったので、止めようがなく、2週間くらい入院して、絶食をし、点滴で過ごして、退院しました。

 それから1年半くらいして、今度はものすごく出血した。いっぺんにガーッとね。今度はすぐに救急車を呼んで、九大病院に行ったら、血圧も50mmHgぐらいに下がっていて、また2週間くらい入院。自分ではストレスがあるとは思っていなかったけれども、日常の仕事に加え、行事も多かった。日曜日に松本で講演があったので、土曜日から行き、日曜日の夜に帰って来た時は、「ああ、疲れた」と思った。翌月曜日に案の定、出血。

この人このままでは3度目の下血する可能性が大だ。実は今日出血源が特定できなかった私の患者も2年前から隼人の病院で2回憩室出血をして止血術できずいずれも自然止血で退院、今度は3回目だったのだ。だからぜひ出血源を見つけたかったのだが・・不安を抱えながらも絶食点滴で様子観察とした。そしてその不安は現実のものとなるのである。(明日に続く)

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