2015年12月10日木曜日

青雲太郎氏

昨日は当直だった。で、今日は休み。これは今週土曜が勤務のための代休である。

昨夜は大変だった。TVニュースや今朝の新聞にも載った交通事故死の患者が搬送されてきたからだ。すぐに気管内挿管し心臓マッサージや昇圧剤など使うも全く反応しない。家族との連絡もつかないまま私は30分で心肺蘇生を打ち切った。残念だがこれ以上は無理だし無駄でもある。で、救急隊も引き上げた後が大変だった。いかんせんこの患者さん、名が不明で車検証持ち主の名前からある程度推測つくものの確定に至らなかった。警察も交え車検証持ち主の家族親類などへの連絡先を調べてもらうも見つからないとのことだった。

それでも電カルに記載はしなければならない。仮名として「青雲太郎」の名で書き進めた。外傷が死因の誘因であることは確かだが事故原因の究明のためにも採血しておく必要があり、みんなで採ろうとするも静脈、動脈全く引けなかった。心臓穿刺までしたのだが・・。死後CTを撮りたいケース、しかし同意が必要な家族、関係者が見つからない。そのうち疲れで私は診察室の椅子で仮眠していた。
ふっと起こされた。当直看護師のピラ健君が「警察(検視役)が死後CTを撮って欲しいって言っています」とのこと、おお、それはOK、さっそく撮ろう。そこで得られた結果、青雲太郎氏の死因がほぼ特定出来た。なぜ心臓穿刺もできなかったのかも納得できた。氏名も判明したが県内には親族がいないらしいとのこと。霊安室にしばらく置かれることになった。今朝までまだ引き取り手が来ず、外来師長に警察と連絡してはやく引き取ってもらうよう指示した。亡くなった後も青雲太郎氏は孤独であった。合掌・・。

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