2015年5月15日金曜日

「日本百名山」

深田久弥(きゅうや)著「日本百名山」(新潮文庫)がamazonから届いていた。

NHKBSの「グレートトラバース日本百名山一筆書き踏破」に影響を受けて原著たる「日本百名山」を読んでみたくなったのだ。深田久弥の名前は知っていたし日本百名山を選定した人というのも知っていた。しかし内容は全く知らずどの山が百名山なのかもたまたまBSで番組を見て鹿児島県は屋久島の宮之浦岳と開聞岳と霧島山(韓国岳、高千穂峰)の三山を含むことを知った。番組では九州と中国地方の大山までは見た後、しばらく休んで日本アルプスの山々は見過ごし、富士山のあたりからずっと録画視聴していた。毎回毎回様々な山を登り移動もすべて徒歩の田中陽希氏には敬服するばかりだ。

番組途中でほんの十秒ほど原文が紹介されるが、これがなかなかよくて深田氏がそれぞれの山をどのように紹介しているのかもっと知りたくなった。
「富士山」は「この日本一の山について今さら何を言う必要があろう」で始まる。他の山は自分が登った感想を記しているが富士山の項では一切なくただ歴史と日本人がいかにこの山に圧倒され続けて来たかを余すところなく書いてる。何を言う必要があろうどころか語りまくって実際の登山がどうかを忘れてしまっているかのようだ。ま、それは田中氏が番組でやってくれているわけだ。

「開聞岳」では「・・しかし高さこそ劣れ、ユニークな点では、この山のようなものは他にないだろう。これほど完璧な円錐形もなければ、全身を海中に乗りだした、これほど卓抜な構造もあるまい。名山としてあげるのに私は躊躇しない。」と紹介している。百名山を上げるにあたって氏はいくつか基準を設けている。その中に千五百メートル以上というのがあるが高々924mの開聞岳が選ばれた理由がたった数行的確に書かれてあった。幼いころから見てきた山がそんなに特徴がある山だと言われて初めて気付いた次第だ。

ぱらぱらとめくって気になる山がどう書かれてあるか読むもよし、北の「利尻岳」から順にじっくり読むもよしだ。そして一度読んでもまた読める。ここがすごい。50年ほど前の1964年に出版されてからずっと版を重ねていて文庫版も1978年から私の版で56刷だ。百名山全部を実際に登ることは私にはおそらくかなわない(登ったことがあるのは100のうち1の霧島山のみ)が100編読むことは出来る。そして代わりに田中陽希氏が登ってくれる。この二つで代理満足出来るのだ。本も映像もまだまだ知らない山がいっぱいだ。当分はこれらで楽しめそう。読後感、視聴感はまだまだ続く・・。

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