2015年3月15日日曜日

囲碁の超若手強者、出現の背景とは

朝から当直でぐだぐだ過ごしていた。急患や病棟から呼ばれないときは医局ソファで寝転びぼーっとTVを見ていた。

NHKの囲碁は今日が決勝戦で登場したのは伊田篤史(いだ・あつし)八段と一力遼(いちりき・りょう)七段という超若手の二人だった。20才と17才でこんなに若い打ち手同士の決勝戦、しかも二人とも初出場というのは初の快挙だ。伊田篤史はその名を去年の本因坊戦最年少挑戦で一般に広め、一力遼は棋聖戦リーグに最年少で入るなど共に一線級の活躍でどちらかが優勝してもおかしくないところまで来ていた。一力など世間ではまだ高校2年生の年なんだよ。囲碁や将棋などが才能と努力の世界とはいえ驚きだ。伊田篤史は私がひいきにしているNHK杯男結城聡を3回戦で破った。その碁を見ていてたまたま勝ったというより内容的にも結城を押し切った印象でこれは強いと思った。結城はTV囲碁に強くこの6年でNHK杯を5回優勝するなど驚異的な成績で今回も優勝候補筆頭だっただけになおさらで、一力遼も準決勝で囲碁界の若き第一人者井山裕太(25才)を堂々と破っての決勝進出だからたまたまのラッキーではなく大したものである。今後の囲碁界は井山、伊田、一力のスリーアイ(3I)の時代か。今期のNHK杯はその象徴となるかもしれない。かつてNHK杯の将棋(1988年)で羽生善治がまだタイトルも一つもない時に大山康晴(3回戦)、加藤一二三(準々決勝)、谷川浩司(準決勝)、中原誠(決勝)と、当時現役の名人経験者4人をすべて破るという快挙を成し遂げ一気にその名をとどろかせたが、その時以来の若いパワーのうねり、いや上昇する竜巻くらいの勢いを感じる。TV対局は短期決戦ゆえか新聞棋戦より時代を先取りしやすい。囲碁界も新しい時代に入ったなと思う。

なぜ、今になってこんな若手が台頭してきたかだが、私が思うに今から10数年前の漫画「ヒカルの碁」ブームとネット碁時代になってきたのが大きいのではないか。ヒカ碁は囲碁を知らない子どもたちが知るきっかけになったと同時に囲碁を子どもが打っても誰も冷やかさずおかしくない状況を作った。私が打ち始めた中学生のころは「年寄りくさい」「どこが面白いの」と実際に言われたりしたものだった。それに今は簡単にネットで碁を打つことが出来、才能ある子はすぐに上達する機会に恵まれている。ネットは囲碁に限らず将棋でも最近知ったがポーカーの世界でもそこで訓練した若手が一気にベテランを追い詰めているらしい。

ネットは昨今の世界情勢や経済をみても分かるようにゲームの世界に限らず21世紀に世界を最も変えた最強のツール、手段だと言える。

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