2022年12月14日水曜日

表情は東野幸治のように

この日の夜は当直が当たっていた。それに午前は外来、午後は救急当番。そのいずれも入院になった患者さんがいて4人は入院させたかな。ヘロヘロだよ〜まったく。

他にも入院になってもおかしくない患者さんがいた。その患者さんは実はある癌の末期状態だと今回初めて分かった。しかし余りに手の施しようがないため、「少しでも残りの時間を家族といっしょに過ごしたほうがいいのでは」と鎮痛剤、炎症を抑える薬、利尿剤を追加しただけで帰宅を促した。余命はもって数ヶ月、年を越せなくても不思議ではない。まだ食事も摂れ、意識もしっかりしている。入院したらこの時世、簡単には家族にも会えなくなる。

他に、発熱で入院していた男性が実は消化器系の進行癌と判明し、その妻に外来診察で結果説明をしたのだが、泣くこと泣くこと。気持ちは察するに余りあったが、私は淡々とほぼ無表情で説明を続けていった(後で「まるで東野幸治のように」と某看護師に言ったら吹き出された)。
そして「内視鏡を使って症状を緩和する処置を明日行うが、上手く行かなければ外科の先生に頼んで手術になるかもしれない」と伝えた。結局、翌日の内視鏡での処置はどうやっても不可で、今度は電話でその結果を伝えたのだが、思っていたよりもしっかりとした受け答えだった。たった1日だが多少なりとも心の整理がついたのだろう。まだ夫との生活は続いていくのだ。

夜は久しぶりに気管挿管から人工呼吸器につながざるをえない患者がいたり、未明に救急患者を受け入れたりし、結局布団やソファでは寝ずに医局の机でうつ伏しての仮眠だけだった。W杯のフランス対モロッコもチラッと見ただけ。フランスの勝ちは予想通りだった。予選リーグ終了時点での私の決勝予想はブラジル対フランスだったが、アルゼンチン対フランスもなかなかの好カードだ。試合は日曜の深夜か、まだまだ先やな。明けても午前はまだ仕事がある。はぁ〜、きっとまた東野幸治みたいな表情になっていたような・・。

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