2021年11月14日日曜日

極寒を登る、滑降する

引きこもりの日曜日。ネット麻雀をするかと思いきや、TV、ビデオを見ながらのダラダラ休日だった。しかし、NHKのBSを付けていると、雪山高山の危ないアドベンチャードキュメンタリーが二つあってどちらも途中から視聴だったのに最後まで見入ってしまった。

一つ目は「日本一の氷瀑に挑む」と題して、「北アルプス立山山中にある落差500m日本一の氷瀑。一人の青年が単独で完全登攀に挑んだ前代未聞の挑戦の記録」だった。今年5月放送の再放送で、NHKの紹介文によると、「北アルプス立山山中に500mの落差を誇る幻の滝がある。雪解けの時期だけ現れるハンノキ滝だ。冬、ハンノキ滝は全面結氷し日本一の氷瀑となる。その巨大な氷瀑にたった一人挑むのは、門田ギハード。W杯決勝にも残った日本人最強のアイスクライマーだ。待ち受けるのは、岩盤を覆う薄く不安定な氷、断続的に襲う雪崩、いつ崩れるともしれない垂直の氷柱…これは無謀な挑戦なのか?それとも世紀の大登攀か?驚異の登攀の記録。」ということだ。

私はどんな経歴の人が登るのか知らず、ナレーションは門田ギハード本人がやっていてなんだか心許ない気がした。しかしやっていることは粘りと根性がすごく、1日目は途中までロープの設置などやっていたが、なにせ雪崩がしょっちゅう起きてそのたびに氷壁に体をくっつけるんだ。どうにか夕暮れまでに終えて2日目から登攀開始し、途中、氷壁にテントを張って一夜を過ごしていた。3日目にどうにか頂上まで登り切るも最後は左足を滑らせ思わず落ちそうになった。氷にドリルを打ち込んでいてそれが支えになっていた。ホッ。私は冬山はおろか夏山も登ったことがないのでこんな悪条件の中を何で登るんやろと思ったり、とにかく凄いとしか言いようかがないドキュだった。門田は最後に「克己心」と書い旗を掲げていた。そう、自分に克つためにやっていたんだね。

次はこれも途中からの視聴で4年ほど前に放送された「デナリ 大滑降 完全版」だった。これも宣伝文句を。「アラスカにそびえる北米最高峰デナリ(旧名マッキンリー)。標高6000mから切れおちる南西壁の急斜面を一気に滑りおりる「世界初の冒険」に挑む山岳スキーヤー佐々木大輔(40)の1年間に完全密着!マッキンリーで消息を絶った冒険家・植村直己に幼い頃から憧れてきた佐々木。マイナス30度、酸素は平地の半分、突然の雪崩が襲う中、執念の滑降を続ける。8台の4Kカメラが捉えた前人未踏の冒険。唯一無二の記録、完全版」。こちらは登るのではなくて降りるドキュメンタリーだ。

私が見たのは登るのは終わっていていよいよ滑り始めるというところからだった。空彼のドローン撮影、ヘルメット、スキー板からの映像など事前に相当準備されてきたことが分かる。滑り始めてしばらく佐々木は途中で雪中に倒れ込んだ。極度に空気の薄い高地を滑降するため息が切れるんだ。そして立ち上がり、後から付いてくる同行するスキーヤーもいっしょに滑降を続ける。しかし雪崩で剥げ落ちた部位が氷結面になっているところを佐々木は直前に気が付き回避し横に移動したが、後からの同行スキーヤーはそれに気づかず氷に入り転倒し膝の靱帯を痛めてしまう。すぐに救出に向かう佐々木。10年かけて準備して来た自分のデナリ滑降より大事なことがある。いったん山腹のテントに二人は避難した。佐々木はその後の滑降をあきらめるつもりだったが同行スキーヤーは「自分はどうにか下山できるから続けろ」と励ます。いいシーンだ。

翌朝、快晴となったデナリを昨日の地点からもう一人の同行スキーヤーと滑降再開する佐々木。空からの映像では軽快に滑っているように見えるがスキー板から見ると下りの様子が見通せない。これは怖い。実際、雪庇(せっぴ)だと思って方向転換した先が実は間違いでとんでもない崖に向かっていた。これを直前に察知して回避する佐々木。雪庇と思った方が正しいコースだったが、ヘルメット画像からは確かにそっちが危なそうに見えた。もし勘違いしたまま滑ったら真っ逆さま。↓が間違いそうになったコース。怖っ。
そんな危機を乗り越え最後に滑る降りると感無量の佐々木だった。↓が残り数百m地点。
いやー、どちらも本当に「冒険」だった。かっこいい響きだが一歩間違えば命取りだ。私なんか絶対に出来ないししたくもない。こうして綺麗な映像でハラハラしつつドキュメンタリーを見るだけでいい。かっこ悪くてもしぶとく生き抜いていくしか能がないからー。

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