2021年11月10日水曜日

「元気で行動力がある」が迷惑

一般に「行動力がある」とはいい意味で使われることが多い。だが以前にも書いたことがあるかもしれない。「行動力がない」方が良かったケースがままあるのだ。

例えばつい最近列車内で殺人未遂や放火を起こす心を病んだ人たち。彼らがもう少し行動力がないキャラであったなら「人を殺して死刑になりたい」とは思わず、自分のみを責めて苦しむだけだったかも。人には迷惑を掛けなかった。まあそこまで大げさな事例でなくても、身近なところでは認知を患っているご老人が元気で行動力があるあまり困ったことをしてしまうケースがある。

カールが「困った」と語ってくれたのが、沖縄に住む叔母の話。元気なのはいいが数年前から認知症状が目立ってきた。とにかく物忘れがひどく3分と覚えていられない。だから5分おきにうちに相談の電話が掛かってくることもある。答えてあげれば「ああそうね」と言ってくれるがすぐに忘れてしまうのでまた電話が掛かってくる。「はあ・・」とため息が出てしまう。それはまだいい。子どもに恵まれなかったのと最近長らく闘病していた夫を亡くし一人になってしまったため、さらにカールへの負担が増した。一人で生活させるのはなにかと危うく、カールも鹿児島からそうそう気安く沖縄には行けないし、施設に預けようかという話になっている。

それはいいとして、それまで信心めいたことはせず、かつては仏壇など勝手に捨てたこともあるというのに、相談することなく新しく高価な仏壇を購入していた。ヘルパーさんが家に真新しい仏壇があるので驚いてカールに連絡してきたのだ。「はあ・・」またため息が出る。「高と思ったらパッと行動するタイプなのよ。おまけに体はまだ元気そのものだしー」認知さえなければ独居でも何の心配もなかったのに・・。
購入したのは↓と同じくらいのお値段の立派な仏壇らしい。
「そんな叔母さんにお金を持たしておくのは心配だな。今回もほとんどむだな出費ウン十万だろ」「そうなのよ。で、『カールにお金を預ける』とか叔母は言うけど絶対お断りだわ」ときっぱり。なぜかというと、「絶対に『カールにお金を取られた』と言うに決まっている」からだそうだ。「そんなこと言うわけないじゃない」と叔母に言われたが、「そんなこと」が他の人のケースですでにあったんだそうだ。そうやね。認知のお年寄りには「誰々にお金を取られた」という妄想が頻発する。私の親族にもそれはあった。

元気で行動力がある。しかし認知症患者にそれがあると周囲は困ってしまうという事例であった。

0 件のコメント:

コメントを投稿