2021年2月4日木曜日

コロナで死ぬ確率、ワクチンでショックになる確率

 ちょっと前にも書いたが、最近新型コロナワクチンに対する質問、いや不安といっていいかな、それが多い。患者さん、職員、知人問わずだ。

10年以上前に蕁麻疹とショック(血圧低下で意識が一時消失)を起こした患者が「コロナワクチンを打って大丈夫か」と尋ねても来た。インフルエンザワクチンは毎年打って特に問題はないという。ふむ、確かに一度ショックを起こしたことがある人は心配だろう。それは分かる。しかし結論から言って99%以上の人はワクチンを打って大丈夫だし、いや打つべきであると私は考える。

新しいワクチンとなれば何かと不安に思うのは理解出来る。でもそれをことさら強調し、いわゆる「情弱」の人に間違った判断をさせるのは良くない。「ワクチンは嫌だ」「ワクチンは不安だ」と言う人に私は尋ねてみる。「ワクチンを打ったらどのくらいの頻度でショックを起こしたり、あるいは死んでしまうか知っている?」これに正しく答えた人はゼロである。逆に「新型コロナに感染してどのくらいの死亡率か知っている?」にも誰も答えられなかった。

今日の読売新聞にそのワクチンのことが特集されていた。呼吸困難や急な血圧低下を起こすアナフィラキシーショックを起こす頻度はファイザー製で20万回に1回、モデルナ製で36万回に1回起きる。100万人に打てば5人から3人に起きる確率だ。ただ発症者の9割は30分以内に症状が表れ、全員が回復している。また発症者の8割には他のアレルギーの病歴があったという。だから問診でアレルギーの有無のチェックを行い、接種後30分は医師の待機する会場で監視し治療薬も準備しておけばむやみに恐れる必要はないのだ。

さらに付け加えればアナフィラキシーショックは一般的な薬剤やワクチンでも起きる。抗菌薬でショックの起きる確率は100万人でなんと370人から4590人もいて、これは2700回から220回に1回起きる計算になる。先ほどのコロナワクチンのとは比較にならない多さだ。なのに平気で「センセイ、抗生物質を下さい」なんて言ったりする患者さんもいる。

さらに言う。ワクチンだから心配するのかもしれないが、ソバを食べてもアナフィラキシーショックを起こす場合がある。国民全員にソバを食べさせれば一定確率でショックを起こすわけで、ワクチンを怖がる人はソバを心配するのと同じようなものだ。

そもそも新型コロナに感染したらいったいどうなる?東京都では最近まで10万3千人ほど感染し1014人が亡くなっている。死亡率約1%だ。ということは先ほどの100万に換算すれば1万人が亡くなっている計算だ。コロナワクチンはどうか。死んだ人は0人で100万に5人から3人にショックが起きる。ショックに限ってもコロナ死亡率の2000分の1の低確率でしかない。(あと副反応で打った部位の筋肉痛、倦怠感、頭痛などがあるがそれらはワクチンすべてに共通とも言えるのであえて確率から省いている)

私はコロナワクチンを心配する人に問いたい。

「さあ、コロナに鹿児島県民全員(160万人計算)が掛かったとしましょう。すると1万6千人が死んでしまいます。じゃー、ワクチンはどうか。誰も死にません。あ、気分が悪くなって治療を受けないといけない人が8人から5人は出ます。あなた、ワクチン打たずにコロナに罹りたいですか、それともちょっと副反応が心配だけどワクチン打ちますか」

冒頭、私はワクチンは99%以上心配ないと書いた。これは若干誤りだった。正確には99.9995%心配はないである。

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