2020年8月8日土曜日

缶チューハイ1本でいいの

 40才代の女性が外来に来て腹部症状を訴えていた。採血結果で肝機能がやや悪いことを指摘し、「アルコールはどのくらい飲むんですか」と尋ねると、1日で「缶チューハイの500mlを2本、350mlを3本」と言うではないか。「毎日缶チューハイ2L飲んでるの?!」いや驚いた。だいたいの計算で純アルコール量で1日80gは越えており(ストロング缶チューハイなら100g越え)これを毎日続けているとなるといずれ肝硬変になる。今の時点では肝機能は大丈夫だがこれを10年続ければかなり危うい。

今までアルコール依存からの肝障害で死んだ患者を何人も見てきた。だいたいが男性で40代から50代が多い。女性や30代も少なからずいる。だからまだ理性がはたらくうちにきつく指導するようにしている。この場合「アルコールを減らせ」より「完全に絶て」の方がいい。依存症気味の人に1本にしないさいは何本でもいいになってしまう。飲む量を減らせはダメで、私はよく例えるのだが、それは覚醒剤依存の患者に「覚醒剤は体に悪いから1本にとどめておきなさい」と指導するようなものだ。「完全に絶ちなさい」と指導する方が本人のためにもよいのは明らかだろう。

「依存症でない人に缶チューハイ1本までにしておきなさいはまあ許されるけどね」と外来に付いた西友Nsに言った後、「缶チューハイ1本って言ってしまっていいの?」とつぶやいたらきょとんとされてしまった。何言っているんですかという表情に「ああ、俵万智の短歌を知らないかなぁ」と30年以上前に大いに流行った短歌集「サラダ記念日」のことを教えた。確か缶チューハイ1本飲んだだけで結婚しようと言ってしまっていいのかという内容だったが・・。

で、調べてみた。ネット時代、こんなのはすぐに検索できるわい。

「嫁さんになれよ」だなんて
カンチューハイ二本で
言ってしまっていいの

あらら、1本だと思っていたが2本飲んでいたんですか。それに「結婚」でもなくて「嫁さんになれよ」だった。

タイトルにもなった「サラダ記念日」の一首は

「この味がいいね」と
君が言ったから
七月六日はサラダ記念日 

ですごく有名。この他にも

「寒いね」と話しかければ
「寒いね」と答える人の
いるあたたかさ

は、味わい深いし

万智ちゃんを
先生と呼ぶ子らがいて
神奈川県立橋本高校

は、こんなのが短歌になるんだという新鮮な驚きがあった。ちなみに神奈川県立橋本高校からはモデルの冨永愛、中国でも大人気AV女優の蒼井そらが出ている。

ひょんなことから話題が変わっていくのは私の常である。久々に俵万智の「サラダ記念日」でも読んでみようか。


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