2014年12月28日日曜日

あきらめるくも膜下出血

何回か起こされた夜も明けようかという頃、救急患者が来た。やれやれこれで今回の当直業務も最後にしてくれよなー。

運ばれて来たのは80代の女性で午前7時頃トイレで倒れる音がして家族が見に行ったら意識不明となっていたという。女性は日頃は近隣の内科クリニックに高血圧、糖尿病などで通院していた。救急隊からの連絡では血圧が何と240/140とあり得ない高さでこれは脳血管障害でまず間違いないだろう。意識レベルは300、つまりは心肺は動くも何の反応もない状態で脳梗塞よりは脳出血その中でもくも膜下出血あたりが怪しい。到着後、外来救急室内にあるCT室に即入れ撮影すると案の定ひどいくも膜下出血だった。これは・・。シマッチ院長に電話連絡し病態報告し遠隔で画像を見てもらった。診断はやはりくも膜下出血で「これは入院させるけどほとんどお看取りするしかないな」とのこと。くも膜下出血は歩いて来る人からこのように救急車意識不明まで程度は様々だ。急激でかつ意識がないほど重症で助かる率も下がると思ってよい。気管内挿管し人工呼吸器につなぎ入院指示を出し家族に院長が語ったとおりを説明した。家族はショックだろうが高齢で病気がち故に覚悟し肯いていた。だがこれが40才代で働き盛りだったらそう単純には運ばない。1年ほど前にそうした事例があった。

その人は救急車で運ばれ呼吸も心臓も止まりそうだったのをシマッチ院長が緊急気管内挿管し心臓マッサージでどうにかその場はしのいだものの、結局数日後には亡くなった。少しでも生きている時間があり家族も残された時間を看取ることが出来たが、案に反し「手術が出来る病院に転送しなかった」「いや、このケースで手術をする病院などどこにもない」「(手術を)しないのは何か都合が悪いことを隠しているからではないか」「他院の専門医にも確認したが私たちと同じ方針だと言っている」と説明しても目の前の事実が受け入れがたいために矛先を(即死に近いのを助けてやったはずの)病院に向けてきたのだ。院長は大人の対応をし最終的には分かってもらえたという。私など家族の当初の反応を聞いた時には怒鳴り返したいと思ったほど。気管内挿管実施時はいっしょに手伝い院長がいかに素早く即死状態を復活させたかを見ていたからだ。小家族主体の昨今は祖父母などの死に接することが少なくなり死ぬことが実感できない人が増えているに違いない。また、病院に行きさえすれば何でも助かるとの幻想を抱いてはいやしないだろうか。治せない病気、治せない外傷などいっぱいあるのだ。死は誰しも嫌だし考えたくはないが誰にでも起こることゆえ死生観を持つことは大事だ。自分がこのようなくも膜下出血になったらその時はあきらめ家族の見守る中で静かに亡くなることを覚悟しよう。

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