2024年1月24日水曜日

「名医です」

今週、2回も「名医ですね」と褒められたヨ。いずれも「は?」と私自身は思ったのだが相手にしたら悩んでいた症状をあっという間に解決してくれたのでそう言いたくなったようだ。

1人目は歯科口腔外科の山守先生の知り合いの高齢男性。これまで数回大腸内視鏡を受けたが最後の盲腸まで入ったことがなかったと。で、山守先生が私に紹介してきたのだ。事前に内視鏡室の福緑Nsが「ロングタイプのスコープにしますか?」と聞いてきたが「通常サイズで」と返事した。というのも通常の長さのスコープで100例中99例は最後の盲腸まで入るからだ。ロングスコープは長くて重いので若干操作性が劣る。もし奥まで入らなかったからロングに交換して再度やり直せばいいだけだ。

結果は5分台で盲腸まで到達し、高周波で切除したポリープが2個、それを使わずに切除したのが6個とほぼ全部のポリープを取りまくって終わった。確かに肝弯曲を越えるのに少し手間取ったけれど、体位変換やスコープを引いていったん短くし腸管を整えてから挿入するとどうにか入るものなのだ。で、「はい、終わりましたよ〜」と言ったら、「ありがとうございます。いやー、聞きしにまさる名医です」そして「私の奥の腸は人類未踏の地だったんです」と言われて、面食らった。

その程度で名医と言われたら、これから毎日名医名医と言われ続けなくちゃならない。昨年末、受けた大腸内視鏡は若手の先生だったらしいから途中で諦めたのだろう。「こんなの普通ですよ」と言いたかったが、それだとなおさら名医扱いされそうで「そうですか、光栄です。ありがとうございます」とだけ返事した。

で、2人目が今日の外来で、30歳代半ばの体つきのいい男性が胸背部痛がするとの主訴で来院した。これはちょっと気を付けなくちゃな。まずは心臓系の病気がないかが気になる。狭心症や心筋梗塞は命取りになる可能性のある病気だ。ただこの人は毎年当院の人間ドックに来ていて心臓その他調べているが全くの正常のデータだった。訴えを聞いて「まずは服を脱いでもらえませんか?」と頼んだ。すると、痛みのある右胸部から背部にかけて発疹が散在していた。これは一目「帯状疱疹」である。比較的高齢者に多い病気だが30歳代でもちょくちょく見かける。すぐに診断名を告げ、抗ウイルス剤や痛み止めの処方を出し今後の注意事項を教え帰ってもらった。その一部始終を見ていたチェリピアNsが「先生、名医ですね」と言ったのだ。「は?どういうこと」と聞くと「服を脱がせてだけですぐに診断できたから」と。

ふふん、問診に加え、視診聴診は基本だからねえ。昔、外科の奥マラDrが「診断が分からない時はとにかく全部脱がします」と言っていたのを思い出す。私はなにも特別なことをしていない。どうにも名医とは面はゆいが、「基本を守るそれ名医なり」ってかっ。

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