2024年1月19日金曜日

異物誤飲のてんまつ

午後は外来業務だった。ただ、夕方に電話があって「芋餅を食べたらいっしょに入れ歯を呑み込んでしまった。どうしたらよいか」という初老女性からの依頼があった。ううむ、そのままほっとくのは、腸管に引っかかったままだと時に腸管穿孔や腹膜炎を起こすことがあり危険だ。「とりあえず受診しに来て」と看護師に伝え、来院を待った。

この手の緊急内視鏡は私がたいてい担当していている。患者はしっかりした御婦人で単なる不注意で起こした異物誤飲とのこと。まずは腹部レントゲンで胃の中に異物があるかどうかをチェックした。すると写っていないではないか。しかし患者は右上の入れ歯(というより差し歯に近い)が明らかに無くなっているしでたぶん呑み込んだと言う。ここはもう内視鏡で確かめる他はないと検査を開始した。

こんな場合の胃の中は食物残渣がいっぱいのことが多い。果たしてそうで、餅や米の他食物残渣が多くてどこに入れ歯があるかとっても分かりづらい。それでも内視鏡の吸引力を最大にして少しでも残渣物を吸い込み、入れ歯がないか探した。見つからないので体位を左側臥位から仰臥位、右側臥位にしてまで観察したが見つからない。まだ残渣があるのでもしかしたら紛れているのかもしれないが「おそらく胃内にいない」とダジャレじゃないけれどギブアップした。

ここまでされれば患者も納得するしかない。「摘出できなくてもたいていは便とともに排泄されることが多いから(さほど心配ない)」「もし残ってどこかに引っかかって腹痛などあればすぐにまた来て」と言い含めて帰宅させた。実はこの内視鏡をする直前に国分の病院から「憩室出血の患者を診てもらえないか」との依頼があったが、丁重にお断りした。受けても来院する時間帯は終業以降になりそうだったし、今内視鏡室スタッフが不足気味で対応しづらいということ、それになにより今緊急内視鏡をする直前なのだ。

ま、やれるだけのことはやった。後は何事も起きないことを祈るだけだ。そして病棟に行きだいたいの仕事が終わり、医局で少しゆっくりしていた。すると17時50分頃、受付から電話があった。「もう本来なら私は病院を出て帰宅の途についているころよ」と思いつつ出ると、「さきほど内視鏡を受けられた〇〇さんから電話があったのですが・・」と聞いた内容は・・↓の画像をご覧あれ。

やっぱり!

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